様々な国への送金手続きを専門に行う「海外送金所」。世界200以上の国や地域に送金でき、金額は数千円など少額でも受け付けてくれます。

 そして、訪れる外国人たちは多くがコロナの影響を強く受けていました。経済状況が苦しい中、それでも母国にお金を送る外国人たち。名古屋にある海外送金所の1日を取材しました。

■困っている仲間のために…日本で物資を購入して母国へ

 名古屋市中区の地下鉄・伏見駅近くにある「キョウダイレミッタンス」。海外にお金を送る専門業者です。ここには毎日、大勢の外国人がやってきます。

 午前10時。オープンと同時に来日3年目のベトナム人留学生がやって来ました。まずは在留カードで本人確認。ベトナムの友人から送金してもらったお金を受け取りに来ました。

 友達のベトナム人から日本に送ってもらったお金で、物を買って送るといいます。今、ベトナムではコロナの影響でマスクや消毒液が買えないため、日本で購入して送ってあげます。

 続いてやってきたのは、来日2年目のネパール人留学生。現地で暮らす家族へ送金するために来店しました。

ネパール人留学生:
「ネパールがコロナウイルスだから、僕の家族の生活も大変だから送っています」

 その額10万円、宅配便の荷受け所で半年バイトをして貯めたお金です。日本の技術を学び、車の整備士の資格を取るため、専門学校に通っていますが、新型コロナウイルスの影響で秋休みが長びいているといいます。

 やはりここでもコロナの影響が出ています。

■「明日もあさっても休み…」外国人が息抜きできる場所に

 このキョウダイレミッタンス。「KYODAI」は、日本語の「兄弟」からきています。カウンターに各国の言葉が話せるスタッフを配置し、気軽に送金できるのが特徴です。

 銀行などより手数料が安く、早く入金でき、さらに専用のカードを作れば、ゆうちょ銀行などからも送金ができることから、現在急成長しているサービスです。

 取材したこの日も、バングラデシュやイエメンなど様々な国の人たちが来ていました。日本に来て29年、ブラジルレストランを経営する男性は、母国ではコロナが広がっていて、職を失った人が大勢いるといいます。

自分の店も客が減って苦しいですが、ブラジルの家族のために4万円を送金します。

 午後1時。ネパール人スタッフを訪ねて1人の男性が入ってきました。こちらの男性もネパール人、送金が無い時でも同じ母国の仲間のところに相談に訪れます。

ネパール人男性:
「最近コロナですから、そんなに忙しくない。明日も休み、あさっても休み。仕事頑張りたいけどしょうがない」

 工場に勤務している男性。明るく振舞っていますが、現実は厳しくここに来るのが息抜きになっています。いつも送金している両親の写真を見せてもらうと…。

ネパール人男性:
「時々、お金を送る、それが人生の中で一番大事かな。お母さんお父さん、神様と同じですね。日本はすごく大好き。みんな優しい、なんでも安全。めっちゃいい国です」

■今は帰れない…両親に初めての送金

 続いてやってきたのは、日本で車の買い付けをしているスリランカ人の男性。こちらを利用するのは今回が初めて。母国にいる父親に送金するために訪れました。

スリランカ人男性:
「1年に1、2回は帰っていたけど、コロナだから帰らない。1か月に1回しか飛行機がないから、今スリランカに帰るのは大変です」


 帰りたくても帰れない…。両親と繋がることができる場所を探してやって来ました。

 午後5時半。この日は、友人に送金したルーマニア人女性が、最後の客。

送金所の担当者:
「今、コロナの大変な中で、日本にいる外国人の皆さんが、母国に帰れなくても、少しずつ我慢して貯まったお金で仕送りして、家族を助けていることには感謝していますね」

 名古屋の「海外送金所」。外国人が必死で働いて送る母国へのお金には、家族への愛があふれていました。