名古屋に本社がある植木店は、これまでの植木店のイメージを変えるやり方で、今や全国に99店舗を展開する巨大チェーンに成長。その秘密に迫りました。
■若い職人がカジュアルなスタイルで…従来の植木店のイメージを覆す

名古屋に本社を置く植木店「Oh!庭ya!」。

これまでの植木店のイメージを覆し、創業から16年で、全国99店舗にまで急成長しました。
例えば作業するときの服装は、“ハチマキに半纏”といった、これまでの植木職人のイメージではなく、ポロシャツ姿。さらに平均年齢32歳、若い職人が多いのも特徴です。

庭木職人の水野さん:
「すっきりお手入れで大丈夫ですか?玉みたいな形で残してあげて、伸びているところは切り戻してあげて、すっきり剪定という形ですね」

まずはお客さんに作業内容を確認して、メモをとります。この日は4本の木を、刈込みバサミを使いどんどん切っていきます。

仕事の方法はこれまでの植木店と大きく変わりません。3時間程の作業で、伸びていた枝葉がすっきりと刈られ、庭の雰囲気は一変、若い職人でも問題なくキレイに仕上がりました。
■高さ1メートルの刈込は500円、剪定が1000円…急成長のカギは「客目線の明朗会計」

また、お客さんから好評なのが事前に見積もりを出してくれるわかりやすい料金。これには作業前にとっていたメモに秘密がありました。

見積もりは1本あたりの金額で見積もりを作成。「Oh!庭ya!」によると、従来の業者は職人の手間賃という形で、ざっくりの金額が出され、詳細が分かりにくいという声が多かったそうです。

そこで「Oh!庭ya!」は、会計を「見える化」しました。今回の場合、1玉につき500円の50センチの玉が6個、1玉1000円の1メートル近い玉が3個で、合計6000円となります。他にも木の種類や高さ、枝ぶりで値段があらかじめ決まっています。
この日は他にも高さ4メートルのクロガネモチの剪定で1万円。広さ5平米のサツキの刈込みが3000円。50センチの玉が16個ある木は8000円。さらにゴミ清掃費を含めて全部で3万500円です。

今までありそうでなかった、この「明朗会計」がお客さんの安心感につながり、評判になりました。しかし、このやり方初めから狙ったものではなく、お客さんからのある変わった依頼から偶然生まれたといいます。
創業者の増島社長は当初、収穫の手伝いなど、農家さんを支援する仕事を行っていました。そんな時、ある依頼を受けたのです。
取締役 赤嶺さん:
「よく農家から、田んぼのあぜ道の草刈を頼まれていたので、広告を出す時に<おまけで草刈り1坪100円でやります>と出したんです。そしたら、一般の家庭からめちゃくちゃ反響が来て」
おまけで始めた草刈りが大好評に。すると「木を1本だけ切って欲しい」と、変わった依頼が舞い込んできました。

赤嶺さん:
「でも、素人なので切ったことないですよ、と言ったら『(1本だけでは)断られて困っているんだよ』と言われて。じゃあ1本だけでも受けられるように1本いくら、草取り1時間いくら、とか単価を決めていきました」
草刈りや木を1本切るなど、庭の細かい困りごとを解決していったら「明朗会計の植木屋さん」として評判になっていました。
■わずか1年で立派な植木職人へ…秘伝の育成マニュアル

「Oh!庭ya!」には、これまでの植木屋のイメージから、大きく変わるための秘密のファイルがあります。
赤嶺さん:
「一人前になるプロセスを、7つの等級で約92項目作って、これを習得したら一人前になれるよ、と明確化しています」

ファイルの正体は、「Oh!庭ya!」の植木職人を育成するマニュアル。剪定や刈込みといった技術はもちろん、名刺交換など社会人としてのマナーも含まれ、およそ300ページにまとめられています。

従来の植木職人が、3年以上かけて1人前になるのに対し、このマニュアルを使うことによって、わずか1年で植木職人になることができます。素人に1から教えることで、結果的に若い職人が多くなりました。

作業終了後は切り落とした枝や葉はもちろん、細かいところも徹底的に掃除します。

依頼した女性:
「すっきり刈っていただき、ありがとうございます。これからもお世話になると思います」
植木屋さんを職人でなくサービス業と捉え、お客の要望を細かく叶えていく事で、「Oh!庭ya!」は大きく成長していきました。

「Oh!庭ya!」では、“お墓のお手入れ”サービスも始めました。1坪5000円からで、木の剪定や草刈りをはじめ、墓石もきれいにしてくれます。