秋の行楽シーズン、例年は多くの観光客で賑わう岐阜県の馬籠宿と長野県の妻籠宿は、今年はコロナの影響で訪れる人が減っていますが、少しずつ活気が戻りつつあります。感染対策をしながら奮闘する馬籠宿と妻籠宿を取材しました。

■人気の「五平餅」に「栗おこわ」…馬籠宿の週末は観光客戻る

 10月3日土曜日。岐阜県中津川市の中山道にある馬籠宿は、秋らしいさわやかな気候の中、散策する観光客で賑わっていました。

 10月に入り、GoToトラベルキャンペーンに東京発着が加わったこともあり、週末を中心に、中山道の宿場町に観光客が戻ってきました。

男性客:
「福井から日帰り。楽しみは、この五平餅」

 来たら必ず食べるという五平餅は、宿場の入口にある「白木屋」の看板商品です。

 クルミや落花生でコクを出した醤油ダレが自慢で、9月から週末は1日に1000本近く出るようになりました。

白木屋の店主:
「今まで気にせずやっていた日常が、一歩動くたびに消毒。そんな生活になりました」

 感染対策を徹底し、これからピークを迎える行楽客に備えます。

 宿場の中ほどにある食事処「大黒屋茶房」。

訪れる客のお目当ては、この時期の馬籠宿名物の栗おこわ。これを楽しみに来る人が多くいます。

 大黒屋茶房では「日本のお客様には、海外からのお客様がいない分、昔ながらの町並みを楽しんでもらえているのでは」と話します。

 去年まで多かった外国人旅行客の姿はありませんが、その分国内からの客に支えられています。

■外国人に人気の宿は「ランチ」のみの営業に

 馬籠宿から北へおよそ8キロ、長野県南木曾町の妻籠宿。こちらも江戸時代からの風情が残る古い街並みが人気です。

女性客:
「雰囲気すごく良くて、来るのは2回目ですけど、歩いて楽しいです」

別の女性客:
「妻籠と馬籠って似たような感じと思ったら全然違いますね」

 30年ほど前から木曽の名物おやきを販売する「わちのや」。人気は野沢菜のおやきです。

わちのやの店主:
「一家族しか入れないです。他の家族と一緒になると密になってしまうので」


 店内の飲食を1家族限定にして感染予防を心がけます。

同・店主
「東京がGoTo参加になりましたから、多分昨年の5割ぐらいは来ていただけるのじゃないかと期待をしております」

 100年続く旅館「藤乙」。口コミサイト、トリップアドバイザーの旅館部門で5年連続全国2位となった人気の宿です。

 宿を切り盛りするのは4代目のグラゾフさやかさん。やはり、コロナの影響を受けています。

グラゾフさやかさん:
「うちは9割方、外国人の方が宿泊されていたんですね。なので外国人の方がいらっしゃらないと(宿泊者が)ほぼゼロになってしまった」

 現在は安全面を考慮して宿を休業。感染予防をしながら、ランチのみの営業です。

 入口には、消毒液と検温器を設置。店内は窓を開け、風の通りを良くし、座席を減らしてソーシャルディスタンスを確保。天井には新たに換気扇を9つ設置しました。

 名物は、「ほう葉味噌ステーキ」1350円。先代が考案した信州みそを使ったメニューです。

 さらに10月からGoToイートやGoToトラベル向けに、新しいメニューを加えました。

 それが「信州牛ロースステーキ」2600円。これを目玉に、GoTo需要を待ち受けます。

 コロナ禍の中で厳しい中、奮闘するさやかさんは、4年前に結婚したロシア人男性の夫がいて、今年からこの宿を一緒に切り盛りする予定でした。

 ところが、新型コロナの影響で4月から日本への入国ができなくなり、家族が揃うのはもう少し先になりそうです。

 活気が戻りつつある中山道・馬籠宿と妻籠宿。最も賑わう紅葉シーズンを控え、更なる集客を期待します。

 さやかさんは、「今までは外国人に頼りすぎていたので、日本の方にも来てみたいと思ってもらえるような昼食や宿泊に力を入れていきたい」と話します。

 馬籠は、名古屋から車で約1時間半、JR中央線やバスでは、約2時間で行く事ができます。また、馬籠と妻籠の間にもバスが通っています。