YouTuberが紹介し全国から注文…朝市を開けず始めた「海の直送便」がヒット コロナ乗り越える漁港

　三重県鳥羽市の安楽島漁港。

　ここで月に2度、近海で揚がった魚介が並ぶ朝市が開かれます。運営するのは、あらしま新鮮組。地元の女性たちです。

　新型コロナの影響で、開くことができなかった間、あらしま新鮮組の出間リカさんと鈴木みゆきさんが始めたのは、その時にあがる海の幸の詰め合わせを宅配する「あらしま海の直送便」（4500円代引きクール便送料込み）。

　再開してから4か月。10月に朝市を再び訪ねてみると、開場前から、大勢のお客さんがいました。

出間さん:
「6月に再開して、すごいお客さんで。それからずっと多いですね」

　再開直後から、盛況が続きます。密を防ぐため、列に並んで順番に購入してもらうよう促します。

　マスクを忘れてしまった人には無料で提供するなど、感染予防に注意を払いながら運営しています。

■年末に値が上がる前に…1尾800円の激安の伊勢エビに客殺到

　1番人気はタコです。刺し身で食べると、やわらかくて甘いと評判です。この日は市を開いてから10分で完売。

　他にも、朝あがったばかりの魚や、手作りの干物などがずらりと並びます。

　中でも今お買い得なのが伊勢エビです。

女性客:
「今の時期に冷凍しておくの。生きているのを冷凍すると、正月にお刺身で食べられる。正月前はこの倍の値段はするから」

　ひげが折れているなど、キズもののため市場に出せないものですが、その分お値打ちですぐに完売します。

　中には、1尾800円のものもあります。年末に向けて値があがるだけに、今が買い時です。

■少しでも牡蠣に注目してほしい…不漁が続くも例年の価格でカタチを変えて

　買っている人も売っている人も、みな笑顔。朝市は活気に満ち溢れています。

あらしま新鮮組の鈴木さん:
「おもしろいですよ、お客さんとしゃべっている方が。楽しいのですよ」

　ここの魅力は海の幸だけでなく、店の人との会話も大きな魅力です。市を開く地元の女性たちにとっても、多くの人とふれあうことができる楽しみの場です。

　そんな朝市に、9月から牡蠣も並びました。冬の海の恵みです。

女性客:
「ここのは、安いよ。旬でやっと食べられたし、もう朝市が始まってくれるとすごく助かります」

　ただ、今年は去年に続いて牡蠣が不漁。養殖ものの半分ほどが、死んでしまっています。原因がはっきりしないのも、心配の種です。

　ただ、出荷できるものは、身が大きくて味は良い。そんなカキを余すことなく、売り切るために朝市では、例年通り安く提供することを決めました。

　少しでも注目してもらおうと作ったのが、かきの佃煮とオイル漬け。10月から朝市での販売を始めました。

　佃煮の「牡蠣と茎ワカメの浜煮」（700円）は、ノーマルとピリ辛の2種類。

　「オイルスター」（800円は）、ごま油に漬けた和風の干し牡蠣です。そのままでも、パスタに入れても絶妙な味です。

　10月限定で通販の「あらしま海の直送便」にも、牡蠣の佃煮とオイル漬けや、むき牡蠣も入れました。

■きっかけはYouTube…宅配「海の直送便」に全国から問い合わせ殺到

　コロナ禍で朝市を開けないため始めた、海の幸を詰め合わせたセット。今では、全国から問い合わせがあるほどの人気です。

出間さん:
「YouTuberさんがみえまして、YouTubeにこの朝市のことをあげてくれたのですよ、それと直送便のことも。そしたら、バンっと注文いただきまして」

　そのYouTuberが、三重県在住の奥田裕久さん。もともと朝市の客で「あらしま直送便」を知ると、応援しようと紹介してくれたのです。すると、全国から反響があり、多くの注文が入るようになりました。

出間さん:
「ありがたいの一言ですね。私らだけでは無理かなというのもあるし」

　出間さんら「あらしま新選組」も、不慣れなSNSを駆使し、朝市の様子や魚のさばき方などの配信を始めました。

　名古屋からは車で2時間ほどの安楽島漁港の「あらしま朝市」は、毎月第2・第4日曜日に開催しています。

　午前8時開始ですが、魚がとれる量は日によって違うため、鮮魚などは約30分で売り切れます。開始前に行くのがおすすめです。