コロナの影響で外食の機会が減っている中、料理をする人が増えています。「料理を始めた」「レパートリーを増やしたい」など様々な理由で料理教室に通う人たち。

 そこには「料理がうまくなりたい」だけではない、様々な思いがありました。

■一人暮らしの男性「料理やったほうがいいかな」…増える料理教室に通う男性

 開店の午前10時。教室は朝から賑わいます。

 名鉄百貨店本店にある料理教室「ABCクッキングスタジオ」。レッスンは調理、盛り付け、食事、後片付けと1回90分間の事前予約制。一日におよそ100人の生徒が訪れます。

 この時期は秋野菜の酢豚定食やハロウィーン料理を始め、パンやケーキなど常時40種類のレシピが揃います。

 多くの女性の中に1人、男性の姿が…。おぼつかない手つきです。女性に囲まれ、肩身は狭くないのでしょうか。

工場勤務の男性(43):
「(男性が料理教室に通うのは)昔に比べたらそんなに珍しくもない。一人暮らしでちょっと料理やった方がいいかなと思って」


 レッスンは基本5人1組。初対面でも料理の話題で会話が弾みます。

同・男性
「醤油とか入れるときに『お願いします』って感じで、やってくうちに(女性と)打ち解けていくことはありますね」

 調理は共同作業、距離も縮まります。別の男性は…。

IT企業勤務の男性(27):
「仕事がほとんど在宅でやっているので、少しでも外に出るきっかけがあればと…」


 理由は人それぞれですが、外出自粛中に料理を始めた男性が増えています。女性の反応は…。

建築設計業の女性(22):
「すごく良いことだと思います。料理ってすごく大変なんですけど、その大変さをわかっている人のほうがいい」

歯科衛生士の女性(31):
「料理できる男の人はかっこいいと思います」

 一方、ご年配の男性も。手際がいい人参の皮むき、見事な包丁さばき。率先して配膳も行います。

男性(66):
「料理作るのが好きで、ケーキを作るのが楽しくて、孫とかにプレゼントであげたり。ケーキとかパンは材料揃えるのが大変でしょ。失敗するしね。こういうとこだったら失敗しないので」

 家では、なかなか作るのが難しいパンやケーキを習うため、週に一度、静岡県の浜松市から通っています。

同・男性:
「朝、駅のホームできしめんとか、どて煮を食べて、ビールを飲んでから来るのよ。朝飲むと、その日のコンディションがわかるね。今日も調子いいなって」

 趣味は「料理」と「食べ歩き」。この2つを合わせると、浜松から名古屋の料理教室まで通うことになりました。料理教室に通う理由は人それぞれです。

■いつも甘えてばかりだから…家族の絆深まる手料理の味

 料理教室は若い女性客にも人気です。2人組の女子大生に、料理教室に通う理由を聞くと…。

女子大学生(21):
「コロナで暇でやることがなくて。家で料理していたけど、家だと限界あるから」

別の女子大学生(21):
「オンライン授業だから家に居る時間があるので、やろうと思えばやれます。(でも親に)甘えちゃう」

 2人が、挑戦するのはピザ。生地に指で耳を作っていき、コーンやトマトなどをのせたら、電子レンジへ。そして10分…、おいしいピザが完成しました。

 大学3年の安藤さん。姉と両親の四人家族で、この日、初めてお姉さんに夕食を振舞います。

安藤さん(21):
「昔から喧嘩していたんですけど、一番相談できるのがお姉ちゃんだったし。今日は、いつも甘えてばかりな私が、変わったよっていうのを見てもらいたいなって」

 感謝の気持ちをこめ、献立は、お姉さんの大好物なサツマイモを使った料理。

 サツマイモご飯とゆで豚のネギソースがけです。この半年で随分、腕を上げました。

安藤さんの姉:
「おいしい、これからも作ってください」

■疲れて帰宅したママに手料理を…それぞれの思いを胸に料理教室に集う

 様々な思いを胸に、料理教室に通う人たち。

6歳から料理教室に通う女の子(12):
「ハンバーグとか、カレーライスとか作るのが好き。ママが仕事から帰ってきて疲れている時とか、母の日とか特別な日に料理作る」

主婦(54):
「今日はカリーソーセージです。母がパン好きで、毎回楽しみにしてくれていて。コロナがあり、今年暑かったので今年初めてです。9か月ぶり」

 また、お揃いのエプロン姿のご夫婦は…。

夫(60代):
「甘いものが好きだから、場合によっては職場の人に持っていったり」

 旦那さんの趣味であるケーキ作りがきっかけで、この料理教室がオープンした10年ほど前から夫婦2人で通っています。先日、妻の誕生日にはお手製のケーキをプレゼントしました。

妻(60代):
「『仲良いですよね、一緒に来て』って言われるけど、エプロンしている時だけって言っています」


 この日はグラタンや骨付きの唐揚げなど、4品を作りました。流石の腕前です。

妻:
「最高ですよ。外食するよりは。自分で作ったものを満足して食べられるから、それがいいですよね」

 外食する機会が減った中、食卓をより豊かに…。料理を始めてみる絶好の機会かもしれません。