フィギュアスケートの本郷理華選手。平昌オリンピックの出場権を逃し、その後引退を決意しましたが、2020年9月に現役に復帰しました。

 1年半の沈黙の後の復帰。そこには競技を離れたからこそわかったある気持ちがありました。

■立てなかった五輪の舞台…栄光と挫折の末に再び氷上へ

 9月27日、フィギュアスケート・中部選手権。世界を舞台に活躍した本郷理華選手の姿がありました。結果はフリー1位、総合2位。

本郷理華選手:
「表彰台なんて目標にもできないくらいと思いながらやっていたので、すごくびっくりしました」

 167センチの長身を活かしたダイナミックな演技は、他の選手には真似できない彼女だけの個性。シニア1年目にいきなりGPシリーズで優勝。さらに世界選手権に3年続けて出場するなど、日本を代表するトップスケーターへとのぼり詰めていました。

 幼いころから抱き続けてきた夢。目指すは平昌オリンピック。しかし、平昌オリンピック出場をかけた3年前、満足のいく演技はできませんでした。

 オリンピックの舞台に立つことは叶わず、その後、スケートから離れることを決断しました。

■離れて分かったこと…休業中に蘇った“ただスケートが楽しかったあの頃”の気持ち

 スケートを辞めるつもりで休養に入った本郷選手。それでも1年半ぶりに競技に戻ってきた理由とは…。

本郷選手:
「友達と遊びで、滑ったんですけど、『ダブルジャンプできる?』って。結構楽しくて。今までは当たり前に跳ばないといけないジャンプでも、跳べるだけでうれしかった」


 5歳でスケート競技を始めた本郷選手。よみがえったのは、ただただスケートが楽しかった、あのころの気持ち。

本郷選手:
「今辞めたら後で後悔するかなと思って。もうちょっと頑張ってみて、それでダメだったら本当に諦めがつくし」

 休養中はジュエリーショップで働いていました。

 接客に掃除。これまでスケートしかやってこなかったからこそ感じていた、将来への不安が、お店で働くことで少し和らぎ、楽しかったと話します。

本郷選手:
「本来引退する選手も多い年齢で、『またスケートがやりたい』って戻れたことがすごくありがたいと思うし、1回離れてみないと分からない気持ちだったかなと」

■今までの自分とは違う一面を見せたい…一つずつ目標をクリアし2年ぶりの全日本選手権へ

 自らの意志で戻ってきたスケートリンク。いまでは練習メニューを決めるのも自分です。本郷選手は、やるのもやらないのも100パーセント自分の責任。多少大人になれたかなと話します。

 全日本選手権への切符をかけた最後の関門、10月30日から11月1日に行われた西日本選手権。ショート7位で迎えたフリーで、冒頭のジャンプでミスが出るものの、本人も演技のポイントにあげるステップでカバー。総合9位で、2年ぶりの全日本選手権出場を決めました。

 本郷選手は「これまでのように順位とか点数にこだわるのではなく、ゆっくりだけど1個1個自分なりに決めた目標をクリアできるように。今までの自分とは違う一面を見せたい」と話します。

 次なる目標は12月に開催される全日本選手権の表彰台。本郷選手の挑戦はまだまだ続きます。