世界遺産・熊野古道に、熊野灘を望む街、三重県熊野市。紀伊半島の南東部に位置し、自然が豊かで良質な海の幸がたくさん捕れます。

 熊野市駅から海岸線に沿って北へ進んだところにある、干物専門店「魚作(うおさく)商店」。創業は大正時代です。地元で揚がった魚を、その日に干物にします。

 この時期のオススメは、地元であがった「アジの丸干し」(100グラム194円)。

 秋に熊野で揚がるアジは脂が程よく抜けて、丸干しにすると魚の旨味が逃げず、良い干物になるそうです。身の味はクセが少ないですが、内臓の苦みがいいアクセントになっています。

「魚作商店」の3代目、竹内誠一さんは、「丸干しで『はらわた』を食べてもらうと魚の本当の味がよく分かる」といって勧めてくれます。

 幼い頃、魚が嫌いだったという竹内さん。「魚作商店」を継ぐことになってから、「お客様に食べていただくには、自分が食べないと」と変わったそうです。

 その後、魚が好きになったという竹内さんは、「魚っておいしいよ」とお客さんにも自信をもって勧めます。今は「魚が嫌いだったからこそ、本当においしい干物を提供したい」と話しています。