9月に名古屋・栄のテレビ塔とともにリニューアルした「久屋大通パーク」は、南北およそ1キロにわたり、広々とした芝生広場やおしゃれな商業施設が並ぶ都会のオアシスです。
明るく開放的に生まれ変わった「久屋大通パーク」に、人は何を求めてやって来るのか、そこには様々な人間模様がありました。
■全国を転々とするも住みやすいと名古屋に定住…愛犬と街並みを写真におさめる主婦
南北およそ1キロにわたり両サイドに、ショッピングやグルメなどが楽しめる35の店舗が並ぶ「久屋大通パーク」。
寛げる広々とした芝生の広場や、外で卓球を楽しめたりと、都会のオアシスとして人気になっています。
午前10時。園内の多くの店舗がオープン。早速テレビ塔を背景に犬の写真を撮る女性が…。
女性:
「外国みたいな雰囲気になって。(栄は)名駅におされ気味なところがあったのでいいと思います。テラス席も(犬と)入れるところがあるから、お茶やランチを楽しめます」
夫の仕事で全国を転々としていましたが、住みやすく、都会でありながら田舎でもある名古屋を気に入り、マンションを購入しました。
現在、夫は東京で単身赴任。愛犬と名古屋の街並みを写真におさめる毎日を送っています。
女性:
「次また名古屋赴任にならないかなって、毎回言っていますが、サラリーマンですから」
■ファインダーの先には刻々と表情を変えていく空…写真を勉強する66歳の大学生の夢
こちらも熱心に水辺越しにテレビ塔を撮る男性が…。
長岡さん:
「今まで名古屋になかった景色ですし、人に自慢できる場所だなって。写真を見せると『おぉ』と言ってくれて」
名古屋に住む長岡道雄さん(66)。毎日この公園で写真を撮っています。コンサルティング会社を退職後、今は芸術大学で写真を専攻しています。
長岡さん:
「空、見ていて飽きないですよね。どんどん表情変わっていきますし。空だけだとつまらない、何かと空。建物と空だったり」
まだ多くのやりたい事があると言います。その中の一つが、写真家としてアトリエを開くこと。66歳の大学生の夢です。
■ママ友の女子会から仕事の打合せまで…芝生広場を訪れる様々な人々
昼時。北側にある芝生の広場には、お揃いの青い椅子に座って寛ぐ人たちが。
会社員の男性:
「(椅子は)個人ロッカーに入っているから。昼休みになると椅子をかついで出てくるわけです」
5人は化粧品会社に勤める同僚。昼食後に30分しっかりと気分転換、仕事の効率化に繋げています。雨と風の強い日以外は、雪が降るまで頑張ろうと続けています。
同・男性:
「打ち合わせも会議も、ここで良いんじゃないかと思うくらい。1回やりましたけど」
別の男性:
「逆にまったりし過ぎて、はかどらないっていう…」
開放的すぎるのも一長一短のようです。
こちらは、母親たちの集まり…。
母親:
「10回以上は来ている。緑が多くて(子供を)遊ばせられるので」
別の母親:
「結構会いますね、他のママ友たちに。多分ここが集いの場になっているのかな」
ママ友同士の交流の場となっています。
また、何やら打ち合わせをしている男性も…。
IT会社を経営する男性(40):
「プログラミングで生産効率上げるかが大事じゃないですか。だから、早い段階で子供にプログラムを」
子供が園内にある「英語のプログラミング教室」に行っている間に、仲間と仕事の打ち合わせです。開放的な空間だと、いいアイデアも浮かびます。
同・男性:
「欧米系の企業って、こういうところでミーティングしているんだろうなって。日本だとネクタイ締めて、会議室でじゃないですか。充実していますね」
■「涙がこぼれないように上を向いて」…66歳の大学生は亡き妻を想い空を撮り続ける
夕暮れ。テレビ塔の展望デッキからは、美しい夕日が見渡せます。
東京から旅行で訪れた男性:
「20年以上ですね。子どもが生まれてから2人では全然行っていないので」
同・女性:
「やっぱり東京タワーとかスカイツリーだと思っていたんですけど、来たらすごくいい所だし、すごくよかったです」
夫婦水入らずで、増える会話。仲も深まります。
街燈や店舗に明かりが灯り、公園は幻想的な雰囲気に…。
すると午前中に“空”を撮影していた66歳の芸大生・長岡さんに再会しました。
長岡さん:
「青い色をずっと探していて…。色々あった時に、青い色で心が落ち着いたというか、穏やかになったというか…」
長岡さんがここまで「青い空」にこだわるのには、5年前に亡くした妻の存在がありました。
長岡さん:
「まさかというタイミングで亡くなっちゃったので、本当に心に穴があいたみたいで…。なのに、仕事を一生懸命やっていて、おかしいんじゃないかなって…。半年くらいしてやっと涙が出る時があって、その時にやっぱり上を、空を見て涙がこぼれないようにというか…」
長年、寄り添ってきた妻との別れ…。
長岡さん:
「上を向いたら、空。空って毎日表情が違うんだって。そういう意味で、ここが自分と向き合う場所ではあるかもしれないです」
妻に捧げる写真なのかもしれません。
都会のオアシス「久屋大通パーク」。それぞれの思い出に浸る人々の姿がありました。