レンタルビデオ系列会社がノウハウ生かす…ブランド品が低価格『オフプライスストア』服飾業界の問題解決にも

　名古屋市中村区、名鉄百貨店本店メンズ館4階に11月にオープンした「Luck Rack」。

　衣料品やバッグ・靴・アクセサリーなどが4万点以上揃います。例えば、女性に人気のブランド、レスポートサックのバッグが54%オフの7689円。

　ドレスタイプのワンピースが75%オフの4939円と、どれも正規の値段の3割から8割引の安さです。

女性客:
「値段が安いので普段買わないのを、挑戦してみようかなって思える」

別の女性客:
「お値打ちに買えるから、宝探しみたいでワクワクしました」

　Luck Rack運営会社の社長は、安く商品を提供できる理由について、「シーズンを過ぎてしまったものや、在庫が余剰しているものを仕入れているため」と話します。

　メーカーから、シーズンを過ぎたものなど、在庫となった商品を大量に買い取ることで、値打ちに販売しています。

　アウトレットストアとよく似ていますが、アウトレットと違って様々なメーカーと取引をしているため、バラエティに富んだ商品が揃うのが特徴です。

女性客:
「1つのお店で、色んなメーカーのものが見られるから、それが一番いい」

　多くの商品の中から宝探しのようにショッピングを楽しんでもらいたいと話す社長に、おすすめの掘り出し物を教えてもらいました。

　ゆったり目に着られるワンピース。元々は6900円が1098円。

　ストライプが入った丈の長めのシャツは5900円が同じく1098円。百貨店の衣料品店ですが、約1000円から購入できます。

　シーズンを過ぎたものを仕入れていますが、その季節に適したものも、もちろん揃えます。黒で着回しもしやすいシングルのライダースジャケットは、77％オフの1990円です。

　安く、様々なメーカー品が豊富、女性を中心に人気です。

■きっかけはアメリカの新品の市場を見て…レンタルビデオのグループ会社が見出した商機

　安さと品揃えで人気の「Luck Rack」は、レンタルビデオのゲオのグループ会社が運営しています。その誕生のきっかけは、オフプライスストア発祥の地アメリカにありました。

Luck Rack運営会社の社長:
「アメリカでオフプライスストアに出会った時に、セカンドストリートのバラエティのある商品とオフプライスストアのバラエティ感が非常に似ているなと、楽しみ方が」

　ゲオと言えばレンタルビデオやゲームですが、その幅を広げる為、10年前に中古衣料の業界にも参入。現在、中古衣料を扱うセカンドストリートを700店以上展開しています。

　アメリカの新品の市場を見て、リユースのノウハウを生かしながら、日本でもその市場を作れるのではないかと思ったといいます。

同・社長:
「ゲオやセカンドストリートは、流通倉庫を全国に分配しているので、そのノウハウを生かしながら新品市場のファッションでもいけるだろうと」

　つまり、レンタルビデオやリユースの店舗数が多い分、倉庫も多くかつ商品管理のノウハウもあることから、オフプライスストアの業態でも十分やっていけるとふんだのです。

■大量生産 大量廃棄…アパレル業界の抱える問題 オフプライスストアが誕生した背景

　愛知県内にある倉庫。積み上げられた段ボールに入っているのは、約30万点の洋服です。契約したメーカーから、運びこまれます。

同・社長:
「自分たちでは、さばききれないものがあって、保管しておくだけでも倉庫代もかかり、一気に買ってほしいというオーダーはあります」

　大量の在庫を抱えたくない各メーカーは、安くても買い取って欲しいと考え、こうした大量の買い付けが可能になっています。

　そしてもう一つ、オフプライスストアと呼ばれる業態が誕生した背景には、ファッション業界が抱える昨今の大量生産・過剰供給による、商品の廃棄や焼却という社会問題がありました。

　11月30日の中日新聞の記事によると、2019年に、日本全国でアパレル商品約28億点が供給されたのに対し、消費者の手に渡ったのが約13億点。半分以上の約15億点が処分されている深刻な実態があります。

　そのため、在庫を活用するオフプライスストアに多くのメーカーが賛同。多くの商品が届いています。

同・社長:
「モノには必ず価値があって、それを手にする機会や方法がなかっただけですから。本当は価値はあるけど無駄に廃棄をしなくてはいけないものを減らしていけます」

　オフプライスストアは衣類を安く購入でき、社会貢献にもつながる業態としてこれからも広がりそうです。