愛知県稲沢市の私立愛知啓成高校の生活文化科の2年生の生徒が中心になって、2004年から続けてきた名古屋のシンボル「ナナちゃん人形」の衣装のデザインが最後の展示を迎えた。関わった生徒や教員らが衣装替えを見届けた。

 12日夕方、名古屋駅前のシンボル「ナナちゃん人形」が新しい衣装に着替えた。衣装を作ったのは稲沢市にある、愛知啓成高校の生活文化科の生徒だ。

 ナナちゃんの取り組みを始めたのは2004年。授業で被服を学ぶ中で、どこかで発表の場がないかと模索したところ、ナナちゃんを所有する名鉄百貨店が「未来のデザイナー育成を」と協力に応じて始まった。

 ナナちゃん人形が工事のため使えなかった2006年を除いては、今年まで16回続けてきた。しかし、近年は生活文化科への入学を希望する生徒が減ってきたため、募集を今年度で停止。このためナナちゃんの展示は今回が最後だ。

 今回は、15回の集大成としてテーマを「想い出~縁~」に決めた。第1回目のぶどう、2回目の桜…飾りつけは残していた過去15回の作品で使われた飾りつけをところどころに散りばめた。

 愛知啓成高校は1927年に稲沢高等女学校として設立。1948年に生活文化科が設置された。生活文化科は、被服と食物を中心に学び、専門を活かし大学や専門学校に進学する生徒が多いという。

 16回全て生徒がデザインし、服も作ってきた。前回まではファッションショーも実施し、モデルも生徒が務めた。

「ナナちゃんの服をつくるようになって、子供達にもデザインの力が身についてきた」と話すのは第1回からこの企画に携わってきた生活文化科の教師、長橋さん。「先輩の作品をみるごとに、年々ナナちゃんのデザインも良くなっていった」と生徒の成長に目を細める。

 デザインしたのは2年生の田畑さん。もっと自分のこだわりたかった部分もあったというが、最終的にナナちゃんが着飾った姿を見て「みんながすごい!と言ってくれるのが一番いい」と喜んだ。

 衣装の後ろ部分は3年生が手伝って仕上げた。3年生の横井さんは、「私も去年一生懸命ナナちゃんの製作をしたので今年も手伝わせてもらえるのは嬉しかったので精一杯つくりました」と達成感を口にした。

 また、この日は愛知啓成高校・生活文化科を去年卒業した女性が偶然通りがかり、「作った時の大変だったこと、当時のことを思い出す。いろんな人にみられるから緊張したが、やり切った感はあった」と話し、「これから学校の活動も大変だと思うので頑張ってほしい」と後輩にエールを送った。

 展示は1月19日の午後5時まで行われている。