リニューアルオープンした名古屋の地下街セントラルパークで、一躍人気店となっている店が「カネ井青果」です。

 店頭には、1株で100円(税別)の見た目の美しい「ブロッコリー」に、3本で100円(税別)の太い「ネギ」。さらに1パック580円(税別)の大粒のイチゴ「とちおとめ」と、名古屋のど真ん中にもかかわらず、おいしそうな野菜や果物が並びます。

 新鮮、しかもお値打ちで、連日多くの客が詰めかけています。

■アパレルショップが並ぶ地下街に現れた「青果店」…オープンしたら予想の倍以上の来客

 名古屋市中区栄、ファッションの店が多く入る地下街、セントラルパークにオープンした「カネ井青果」は連日、多くの客で賑わっています。

女性客:
「新鮮ですよね。お安いし」

男性客:
「結構、珍しいものとかもあるので、それで買ったりしています」

別の女性客:
「この辺、八百屋さんとかなかったので、とても便利です」

 オープン以来、予想の2倍以上の来客があるといいます。

 午前7時。周りの店が開いていない中、カネ井青果では、既にスタッフが作業を始めていました。

店長:
「ウチは元々仲卸の会社なので、岐阜の市場で買い付けています」


 カネ井青果は岐阜に本社を構える仲卸の会社です。50年以上、野菜や果物を扱い、中部地方の大手スーパーや有名飲食店など、およそ20社と取引しています。

 3年前から岐阜市内などに直営店を構えました。今回、この店が名古屋初進出となります。セントラルパークにとっても、開業以来初の青果店です。

■街の真ん中に青果店ができたワケ…背景にあるのは進む都心回帰

 ファッションの店や飲食店が多く並ぶ地下街に、なぜ青果店を誘致したのでしょうか?

セントラルパークの担当者:
「周辺に、マンションが多くできているんですけど、スーパーがなくて、青果食品が不足している」

近くに住む女性客:
「買い物難民みたいな時もあって、『こんなものコンビニで買って』という時もあったりして…。こちらができて助かっています」


 周囲にマンションが建ったことから、その住民らの需要を見込んで、青果店を誘致しました。

 店頭に並ぶ野菜を見ると、キャベツは丸のまま、大根も1本そのままと、カットされたものがほとんど見当たりません。

同・店長:
「野菜そのまま1本の方が鮮度で美味しいです。あとは農家さんのためにも、たくさん消費してほしいなと、丸々そのまま販売しています」

 例外もあります。地下鉄の利用者も多いため、白菜やかぼちゃなど、丸のままだと重いものはカットして販売しています。

■仲卸ならではの安さと新鮮さ…良質な青果が並ぶ理由は各部門専属のバイヤーの存在

 午前10時開店。直後から店は賑わいます。

女性客:
「ナゴヤドームの近くから地下鉄で(来ました)。このキュウリもすごく質が良くてね」


 安さはもちろん、新鮮で質がいい。仲卸だけにスーパーや飲食店にも卸すため、大量に仕入れることで販売価格を抑えています。もちろん質の良さにも理由が。

店長:
「うちには、各担当のバイヤーが20人います。そのバイヤーが、独自の知識を生かして、直接農家さんから仕入れしているので」


 野菜や果物ごとに専門のバイヤーがいました。その数、実に20人。それぞれが独自のルートを持ち、市場でも交渉。その時期、もっとも美味しいものを仕入れます。それが品質の裏付けとなっていました。

 こうした各バイヤーが自信を持って勧める野菜や果物が並ぶのには、もう一つ理由があります。それは「直営店がアンテナショップ」の役割を兼ねているから。店には、スーパーや飲食店の担当者もやってくるため、「うちの野菜はこんなにいいモノですよ」とアピールする場でもあります。

■翌日新鮮なモノを売るために…その日仕入れたほうれん草は1束半額50円で売りつくす

 正午過ぎ。近くで働く人たちが、昼休みを利用して買い物にやってきます。

女性客:
「職場が近くてお昼休憩です。しょっちゅう来ています、自宅も近いので」

男性客:
「セントラルパークに野菜屋さんがあるので、びっくりして。見たら安かったので、買いに来ました」

 午後3時過ぎ。客がまばらになったところで、スタッフ総出で野菜や果物を補充します。気が付けば、いつの間にかレジには行列が…。本当に、朝からお客さんが途切れる事はありません。

 そして午後7時前。ここで店長が1束100円(税別)のほうれん草を、50円(税別)に。翌日に新鮮なモノを売るために、この日のうちに売ってしまうためといいます。

 ただでさえ安いのに50円となれば、もちろん、みるみるうちに売れていきます。その日、店頭に出した商品は、すべて売り切る。新鮮さを大事にする「カネ井青果」のスタイルです。

 結局、この日は午後9時の閉店までにおよそ1600人が訪れました。仲卸が開いた青果店は、オープンから1か月で栄の名物店となっていました。

店長:
「生産者さんに対してカネ井青果は一歩踏み込んで、一緒にいいものを開発して。お客様が喜んでもらえるように販売していきたいと思います」