名古屋に華やかな和傘やカラフルな御朱印などで、人気の神社があります。

 月に十数人だった参拝者が今や1000~2000人にまで急増。人を惹き付ける様々な仕掛けを考案する女性神職には、「若い世代に神社を身近に感じてほしい」という思いがありました。

■「社寺人気ランキング」で全国1位…名古屋にあった色鮮やかに装飾された人気の神社

 名古屋市北区の「別小江(わけおえ)神社」。インターネットサイト「Omairi」が行う全国のお寺や神社の人気ランキングで1位に輝いた神社です。

 鳥居をくぐると、すぐ目の前には本殿があります。御祭神は、国を造った神様として神話にも登場するイザナギノミコトをはじめとする六柱。特に、安産にご利益があるとされています。

 本殿の前には、沢山の色鮮やかな和傘が掛けられ、手水舎にも花が置かれていました。

女性参拝者:
「すごい圧巻ですね。こんなに綺麗なところ近くにあったって知らなくて」

別の女性参拝者:
「キレイな装飾とか、昔とは変わった雰囲気になったので。写真が映える」

 全国屈指の人気ではありますが、コロナ禍とあって、この日参拝客はさほど多くはありませんでした。

別小江神社・禰宜の兼子さん:
「かなり少なくなってはいますね。皆さま、分散されているか、参拝を控えている状態ですね」


 やはり、去年と比べると随分寂しい年明けとなったようです。参拝者も…。

参拝に来た男性:
「今年はコロナが改善されて、オリンピックも開かれるような年になったらいいなぁって」

参拝に来た女性:
「コロナにならないように…。まずは健康第一を願いました」


 皆さん、コロナの終息を願っていました。

■月替わりのデザインで毎月訪れる人も…参拝者のお目当ては煌びやかな『御朱印』

 多くの人は、本殿での参拝を終えると、横にある社務所に立ち寄ります。その目的は御朱印です。御朱印とは、神社や寺院を参拝した際、その証となる印章や印影のこと。最近は、それを集める「御朱印巡り」が人気です。

 描き方は、まずあらかじめデザインしたハンコを順番に和紙に押し当てていき、最後に墨と筆を使って手を加え仕上げます。この日は、干支の牛をあしらった新春限定のものでした。

参拝に来た男性:
「すごいカラフルだなと。これでやっと今年が始まったかなって…」

参拝に来た女性:
「御朱印が趣味なので。早く(コロナが)収まって県外に沢山御朱印をいただきに、旅行に行きたいなと」


 別小江神社ならではの華やかな御朱印。多くの参拝者がこれを目当てに訪れます。出来上がりまでに、少し時間はかかりますが、皆さんが手にした時の笑顔を見ると、寒空の下で待つだけの価値があります。

 他にも、7月の七夕限定、笹の葉が描かれたものや、誕生日限定のカラフルなイラスト付きの御朱印など。

 月替りで変わるため、毎月訪れる参拝客もいます。これらがSNSで拡散し、大勢が参拝に訪れるようになりました。

■「夏は風鈴や風車」…拝殿前や手水舎には季節や行事ごとにこだわりの演出

 また、境内も好評です。

参拝に来た男性:
「傘がすごいキレイだったので、来たことがなかったので、一回見てみたいなと」


 拝殿前の装飾はやはり目を引きます。この日飾り付けられていたのは、和傘。こちらも行事ごとに替わり、夏には風鈴や風車を飾り付けた涼しげな演出が。そして、節分の時期にはお多福の巨大モニュメントもお目見えしました。

 手水舎にも、紅白の牡丹が浮かべられていました。これも季節や行事に合わせて趣を変えます。夏にはスーパーボールで夏祭り風に、6月には紫陽花をあしらいました。

 現在、手水舎は感染防止のため使用禁止ですが、艶やかな花を楽しむことができます。

■全国を行脚し可愛いものを自分なりにアレンジ…きっかけは女性神職が抱いた「若い世代の神社離れ」

 カラフルな御朱印に、華やかに装飾された境内。これらは、禰宜の兼子怜佳さんが中心になって行われています。きっかけは、日本人の信仰心の薄れを感じたことでした。

別小江神社・禰宜の兼子さん:
「宗教離れというのが、かなり問題になってきた状況でしたので。若い世代に信仰とか文化を伝えていかなければならないのが神職の仕事ですので、少しでも興味を持って頂けるようにと」

 兼子さんは、勉強のために、多くの神社へ足を運びました。全国の神社を廻り、可愛いと思ったものを、自分なりにアレンジし取り入れていきました。次々にアイデアを具現化していった兼子さんでしたが…。

兼子さん:
「最初は、父である宮司ですとか周りの神職さんから、厳しいお言葉をいただいたりとか…」

 最初は、神社を信仰する地域の氏子にも反対をされました。しかし、徐々に理解を示してくれるようになったといいます。最近では…。

兼子さん:
「皆さん『もっとやった方がいいんじゃないか』という形に変わってきています」


 その思いと行動力が、参拝者増加の原動力となっていました。

■「古い物も大事にしながら新しい物を取り入れる」…様々な仕掛けで多くの参拝者を呼び込む

 そしてコロナ禍で、去年5月から新たに始めた取り組みもあります。

兼子さん:
「ライブ配信を行っております。YouTube上でお参りしていただくことができます」

 オンラインで参拝できるように、カメラを設置していました。境内の4箇所に置き、リアルタイムに動画を配信。コロナ禍で外出を躊躇する人も、自宅にいながらにして参拝できるようにしました。これで、混雑しているかどうかも確認できるようになりました。

 「古い物も大事にしながら新しい物も取り入れ、信仰していただきたい」と話す兼子さん。カラフルなご朱印に境内の装飾、それにライブ配信。新しい取り組みで、多くの参拝者を呼び込みます。

兼子さん:
「今年もコロナで始まっていますが、しっかりご安全を考えていただきまして、この一年、家族の絆をしっかり繋いでいただければと思います」