今、コロナ禍の中での移動手段として注目を集めているモノの1つが、電機モーターで走る電動バイクです。

 名古屋のベンチャー企業が開発したエコなEVバイクは、家庭でのフル充電で約30キロ走り、これまでに3000台以上販売と大ヒットしています。

■通勤やちょっとした買い物にも便利…エコで静かでコンパクト『折りたたみ式電動バイク』

 名古屋市内に住む橋本さん。去年、折りたたみ式の電動バイクを購入しました。

橋本さん:
「通勤でも使えるなと。あと、ちょっとした買い物にも行けるので。自転車よりもこっちの方が、折りたためてコンパクトにできるので」

 この電動バイク、その名も「スマートEV」(16万6000円(税別))。

橋本さん:
「めちゃくちゃ静かです」

 電気で動くためエンジン音ではなく、モーター音。エンジンよりも静かなので、夜に出かける時なども近所に気を使わずに乗れます。この電動バイクがコロナ禍の今、注目を集めています。

■狙うはEV市場への進出…足がかりとして車に積めるコンパクトな2輪からスタート

 開発した会社は、名古屋市中川区にある「ブレイズ」。従業員18人のベンチャー企業から、近未来的なバイクは誕生しました。

 会社の設立は2002年。当初は、主に中古車販売や車の修理を行っていました。その会社がなぜ、電動バイクの開発を手掛けたのでしょうか。

ブレイズ開発担当の森竜太さん:
「今後、EVが日本に普及して、必要になると思っていました。(まずは)自転車と原付バイクの間の新しい市場を作りたくて」

 将来、普及するであろう電気自動車。そのEV市場への進出に意欲はあったものの、ベンチャーのため資本力も大きくなく…。まずは、足がかりとして、2輪からスタートすることに決めました。

 そして、自転車と原付バイクの間を埋める乗り物に着目したきっかけは、客からの要望でした。

森さん:
「6年くらい前から、軽自動車のキャンピングカーのメーカーをやっております。お客様の中で『移動先からの移動手段が欲しい』という声が多くて…」

 旅先からの移動手段としての乗り物、車に積めて運べるコンパクトな乗り物。そのニーズとEVの将来性が相まって、ここにスマートEVの構想が生まれました。

■販売実績3千台以上…支持された斬新なデザインとコンパクトさ

 開発にあたり最も大変だったのが、折りたたみの構造。コンパクトに畳むために、ナンバープレートなども仕舞えるようになっており、レバーを下げるだけで、女性でも簡単にワンタッチで折り畳めるように工夫しました。

 そしてもう1つこだわったのは、重さです。車に積みやすくするため、極力軽く約18キロに。

森さん:
「小学校1~2年生くらいの子供の重さが18キロくらい。20キロくらいになってしまうと、抱っこするとなると…」


 抱き抱えられるぎりぎりの重さに。その分、荷台などを省きました。結果、一般的な原付バイクの4分の1ほどの重さを実現しました。

 3年前に販売を始めるとエコで静か、それに斬新なデザインとコンパクトさがうけ、これまでに3000台以上売れました。加えて、去年からはコロナの拡大もあり、交通機関ではない通勤手段として注目を集めています。

 ちなみに、バッテリーは取り外すことができるので、自宅で充電が可能。3.5時間のフル充電で、約30キロの走行が可能で、近場の外出におすすめです。

■「乗りたい」と思うような乗り物を…ワイルドなオフロード型もクラシックカーも「燃料は電気」

 「ブレイズ」では、他にもユニークな乗り物を開発しています。その1つが、EVミニカー「ネクストクルーザーEV」(車体価格48万8000円(税別))です。

 これも燃料は電気。ワイルドなオフロード型ですが、全長2メートルほどのミニカーです。普通自動車免許があれば、公道も走行可能です。

 また、クラシックタイプのものもあります。「EVクラシック」は、遊び心満載のその見た目から、車好きの愛好家に人気です。

森さん:
「業界をどう活性化できるか、業界にどのような形で貢献できるか考えた時に、乗り物を楽しんでいただく」

 ブレイズは、客が「乗りたい」と思うような商品を作ることを信念としています。

 そして、1月に発売されたばかりの新製品もあります。電動バイク「EVデリバリー」です。

 コロナ禍でデリバリー需要が急増している中、電気で走るため格段に燃費が良く、また夜間の住宅街への配達でも音が静かなバイクとして、主に飲食店向けに開発しました。

 ブレイズの全員の目標は「日本のテスラになること」。目標に一丸となって向かいます。