喫茶店モーニングの聖地とも呼ばれる愛知県一宮市では、コロナ禍の今、モーニングをテイクアウトする人が増えています。
去年11月には、『一宮テイクアウトモーニンググランプリ』が開催され、市内の7つの喫茶店が参加。その中から、グランプリ、準優勝、敢闘賞に輝いたお店を訪問すると、他にはない個性豊かなモーニングが揃っていました。
■アツアツのチリコンカンライスを自宅で…モーニングの持ち帰りの認知進み利用者増える
敢闘賞に輝いた一宮市千秋町にある「ココロカフェ」。
この店のモーニングは、パンの器にハヤシライスやクリームシチューなどを入れた「スペシャルモーニング」(ドリンク・サラダ付600円)です。器のパンも食べられるのでボリューム満点です。
現在お店ではモーニング目当ての客が集中するのを回避するため、モーニングの時間を延長。これまで12時までのところを2時までにし、代わりにランチを休止しています。
そしてグランプリで敢闘賞に輝いた持ち帰りのモーニングが、店内と同じくパンの器に入れて食べる「チリコンカンライス」(800円)。2020年5月から始めました。
ココロカフェの店長:
「お豆をチリソースとトマトソースで煮込んだものになります。少しピリッとするけど、おいしいです」
ソースとパンをそれぞれ1分ほどレンジで温めれば、店と変わらないアツアツが楽しむことができると好評です。
男性客:
「家でおいしいものが食べられるので、とても助かります」
同・店長:
「『怖くて来られない』というお声とか聞きますし、テイクアウトやるとお客さんに喜んでもらえてうれしいです」
■自家農園で収穫した野菜をふんだんに…障害者の就労の場として作られた喫茶店の「もりもりモーニング」
準優勝に輝いた一宮市北方町の障害者施設「サンサンガーデン」に併設された喫茶店『シェ・サン』。こちらは施設に入る障害者の就労の場として併設された喫茶店で、料理は全て手作りです。
このお店のモーニングは、コーヒーにフライドポテト、ゆで玉子、ヨーグルト、サラダ、バジルパン2個がワンプレートに乗ったボリューム満点かつ超お値打ちの「モーニングBセット」(350円)です。
障害者が施設の畑で育てたキャベツやネギなどの野菜をふんだんに使っています。材料を自給しているからこそコストを抑えられ、この低価格が実現しています。
このお店もコロナの影響を受け、モーニングのテイクアウトを始めました。それがボリューム満点のサンドイッチが2つ入った「もりもりモーニング」(500円)です。
バジルをたっぷり使ったパンのハムチーズサンドに…。
キャベツを合わせた白身魚のサンドイッチ。
そして、サツマイモチップスとほうれん草を使ったオリジナルキッシュと、自家農園で収穫した新鮮な野菜をたっぷり使っています。
女性客:
「いいんじゃないかね、今だと余計にこういったのはね」
別の女性客:
「(障害者の方を)応援したいからね」
テイクアウトで店を応援。そんな思いの人たちに支えられています。
施設の責任者:
「テイクアウトなど売上によって、障害者の方の工賃にもなっているので、お客さんに感謝の気持ちをこめて一生懸命がんばっています」
■グランプリは「お姫様気分になれる」人気カフェ…色鮮やかなサンドウィッチ「小悪魔の誘惑」
グランプリを受賞した一宮市八幡にある「こむぎ君のキッチン」は、かわいらしい店内が女性に人気のカフェです。
オーナーの女性は料理教室の先生をしながら、6年前においしい料理を食べてもらいたいとカフェを開きました。
手作りと地元食材にこだわった様々なモーニングを提供しています。
中でも目を引くのが、サンドイッチにサラダ、シフォンケーキなどを3段に可愛く盛りつけた「プリンセスモーニング」(ドリンク代+330円)です。まさに、お姫さま気分になれると女性に人気です。
店主:
「ちょっと趣向を変えて、量よりも見た目もかわいく、女の子が好きそうな感じで作ってみました」
そんな料理教室の先生のテクニックとアイデアで、グランプリを受賞したテイクアウトモーニングが「小悪魔の誘惑」(ドリンク代+324円)です。
同・店主:
「一度食べたら、また食べたくなる誘惑されちゃうようなサンドイッチという感じで名前をつけました」
練乳を混ぜ込んだ、少し甘めのマヨネーズを塗ったパンに、キャベツ、ニンジンをのせ、地元の養鶏園の卵を使った玉子焼きと自家製の鶏ハムを挟んだ、色鮮やかでボリューム満点のサンドイッチです。
パンにも色を付け、見た目カラフルで、女性が好きそうなモーニングに仕上げました。
同・店主:
「モーニングがなくなったら寂しいと思いますので、テイクアウトも買っていただきながら、続けていけたら」
「一宮のモーニング文化の火を消さない」。コロナ禍で厳しい中、一宮の喫茶店は趣向を凝らしモーニングを続けています。