「マンボウの泳ぐ水族館」として知られていた三重県の志摩マリンランドが、3月末で閉館することになりました。上皇ご夫妻にもゆかりのある水族館で、惜しまれる声があがっています。

 3月末で51年の歴史に幕を下ろすことが決まった、三重県志摩市の志摩マリンランド。

 館長の里中さんは、閉館の発表後数日、来場客が少し多くなったと話します。

 飼育している生き物はおよそ500種類で計1万匹。

 中でも一番の人気者は…。

里中館長:
「こちらがうちの目玉のマンボウ水槽です。東海地方では唯一の飼育施設になりますね。(設置)当時はマンボウの水槽では一番大きかったですね」

 志摩マリンランドは1970年、大阪万博に合わせて開業しました。

 キャッチフレーズは「マンボウの泳ぐ水族館」。地元の大王崎沖で捕獲したマンボウを、日本一大きな水槽で飼育。ピーク時の1982年には年間40万人が訪れました。

里中館長:
「毎日私も朝来て、必ずここで1~2分座って見ていることがある。これだけゆったり泳いでいる姿を見ると、やっぱり癒されますね」

 館長は6匹のマンボウの様子を毎朝見回るのが日課です。

 マンボウとは「丸い魚」という意味。その生態は謎が多く、飼育は困難です。目があまり見えないマンボウも多く、水槽の壁にぶつかって死んでしまうことも。エサやりも一苦労です。

里中館長:
「一斉に来ますんで、ぶつかったりしないように刺し棒で確実にエサを与えます」

 勤めて32年、里中館長にとって一番の思い出は…。

里中館長:
「上皇陛下ご夫妻が来られて、ご案内できたことだと思います。前館長と私でご案内させていただいたという感じです。うちの家宝ではないですけど、大事にとっています」


 20年前、三重県の視察にいらっしゃった上皇ご夫妻。志摩マリンランドも訪問されました。

 実はご夫妻にゆかりのある生き物が…。その名は「アケボノハゼ」

里中館長:
「上皇陛下はハゼの研究者でもありますし、美智子さまの発案で(アケボノハゼと)名前を付けられたことをその場でお聞きしまして、びっくりしたというところもあります」

 しかし、平成に入ると来館者は減少。この一年はコロナの影響で10万人ほどに…。

 そんな中、1月閉館の発表をすると、久しぶりの賑わいが…。

来場者:
「小さいころに海水浴の帰りに寄ってマンボウをすごく見ていたんですけど、子供をいつか連れて行きたいと思っていた」

別の来場者:
「小さいころに何回か連れて来てもらって、思い出の場所なんで、閉館はやっぱりちょっと悲しいですね」

里中館長:
「多くの方に支えられながら、お客様も含めて、感謝の気持ちでいっぱいですね。半世紀近く営業をさせていただきましたので、その余韻に浸りながらといいますか、残り短くなりましたけど過ごしたいなと思います」