家にいながらお店の味を楽しめる「フードデリバリーサービス」が拡大しています。今やその種類やバリエーションも様々。イートインスペースを設けず、配達に特化したお店も出てきています。温かい状態で本格的な味を届ける、人気の裏には様々な工夫がありました。

■外食に行く感覚で利用する客も…コロナ禍で増えるフードデリバリーサービス

 ある調査によると「フードデリバリー」は新型コロナウイルスの拡大を受けて、この1年で15パーセント利用者が増えました。

女性:
「使うようになりました。普通に、飲食店に行くのと同じぐらいの感覚で」

別の女性:
「2週間に1回とか、週1とか、多ければ(利用しています)」

 ウーバーイーツ、フードパンダ、楽天デリバリーなど、サービスを提供するサイトは百花繚乱。その中でも「出前館」は、日本最大級のデリバリーポータルサイトとして人気を集めています。

 出前館の登録店舗は、全国で5万店以上。大手外食チェーンから個人店まで、幅広く利用することができます。中でも最近は店舗をもたないデリバリー専門店も増えています。

出前館の広報:
「最近はデリバリーに特化した形でメニューを作ったり、配達を工夫している店舗がたくさんある」

 出前館によると、特に人気のあるジャンルは肉系。外食する機会が減り、本格的な肉料理は家庭ではなかなか作れないため、注文する人が増えています。

■客席なく厨房のみ…独自のおいしさあると評判のデリバリーに特化した「ゴーストレストラン」

 出前館の肉系で人気のお店が、全国の主要都市で展開している「神保町ビーフ」です。「柔らかくてボリュームもある」、「お肉が食べたいときはコレ」など、SNSでも話題の牛肉だけにこだわったお店です。

 名古屋にある神保町ビーフ藤が丘店に向かってみると、建物に店名が書かれた看板はありません。店内に入ると、イートインスペースがなく厨房だけのデリバリー専門店でした。

 このような飲食業態は「ゴーストレストラン」と呼ばれ、独自の工夫・おいしさがあると話題です。

 神保町ビーフでは、試行錯誤を重ね、デリバリーをすることでおいしく食べられるメニューを追求。一番人気は「ローストビーフ丼」(1300円~)です。

 通常、ローストビーフはモモ肉を使うことが多いものの、こちらでは一頭の牛から数キロしか取れない上質な肩ロース肉、通称「ザブトン」を使っています。とろけるような食感とコクが特徴です。

 仕上げ方にも工夫があります。甘辛いタレをかけた温かいご飯の上に、肉を何枚も重ねていきます。この時、ご飯の温かさや周りの温度を計算。客の手元に届いた時には、適度に脂が溶け、肉のうまみが最大限楽しめるように工夫されています。

■手元に届いた時に最高の状態に…配達時間の「余熱」も計算 人気店独自のホスピタリティ

 また、「サーロインステーキ弁当」(1780円~)は、サーロインの中でもやわらかいアンガス牛の赤身を使用。“赤身肉ブーム”のきっかけにもなった肉で、冷えてもやわらかいのが特徴です。こちらも、おいしさを引き出すため、ある工夫がありました。

神保町ビーフの店長:
「なるべく、お客さんに届いた時にいい状態であるように、焼きすぎないように気を付けています」

 配達の所要時間を踏まえ、表面をカリッと焼き上げたら素早く、約60度の保温プレートが敷かれたバッグの中へ。配達中に、保温プレートからの余熱で肉の中がじっくりと加熱され、手元に届いた時には、絶妙な口当たりとなります。

 移動時間の余熱も計算に入れて焼く。牛肉の柔らかさとうまみを存分に味わえると評判の神保町ビーフのデリバリーサービスには、独自のホスピタリティがありました。

■届いた時に鰻の脂とタレがご飯に絶妙に染みて…18種類ものメニューを揃える人気の「まぶし丼」専門店

 出前館でもう一つの人気のジャンルは、どんぶりです。その中でも人気なのが、東海地方で34店舗 “まぶし丼”専門のゴーストレストラン『まぶしの八兵衛』です。

 利用者から「量が多くてびっくりした」、「ご飯が見えない」などある通り、ウリはそのボリュームです。イートインが無い分、そのコストを食材の質と量に還元。店で食べるよりも手頃に味わえると人気です。

 そのまぶし丼、選べるメニューは18種類。鰻だけでなく、肉や海鮮などラインナップも豊富です。そんな八兵衛の人気“まぶし丼”ベスト3。第3位は、海の幸たっぷりの「北海まぶし」(1810円)です。

 ご飯と錦糸卵の上に、厳選したエビ・タコ・紅ズワイガニ・いくらなど、7種類の具をふんだんに乗せました。彩りも鮮やかで、女性に人気です。ちなみに、“まぶし”といえば“味変”も楽しみの一つ。追加でダシ(100円)を注文すれば、海鮮茶漬けとしてもいただけます。

 人気第2位は、「極上牛ホルモン」(1810円~)です。厳選した国産の上ホルモンがたっぷり約300グラム。濃厚で甘い味噌ダレで味付けしてあり、箸が進みます。ダシをかければ、ホルモンの脂の甘みと相まって、コク深いお茶漬けが楽しめます。

 そして人気第1位は、「ひつまぶし(特上)」(3970円)です。脂がのった鰻を丸ごと1匹使用。甘辛いタレで香ばしく焼き上げています。手元に届いたとき、鰻の脂とタレがご飯に染みていて、そのうまみを存分に堪能できます。

 ボリューム満点でバリエーションも豊富。『まぶしの八兵衛』の“まぶし丼“も配達の際には、保温プレートを使用しているので、届いた時に最適な状態でいただけます。