愛知県名古屋市に、フランスの厚焼きクレープ「パスカード」が人気のカフェがあります。シチューやフルーツなどを、パリッと焼いた器状のデニッシュパンの中へ。様々な食材を楽しめる人気のメニューです。
元々はクレープの移動販売をしていたシングルマザーの女性が一念発起して開いたこのカフェは、多くの女性客から愛されています。
■店名の由来は「客がくるくる」…ママたちが寛げる可愛いカフェ

名古屋市西区にあるカフェ「ムッシュクルクル」。パリの街角にあるカフェをイメージしたという店内には、可愛いイラストが描かれています。

店主の山田由希子さん(48)。20歳の息子と暮らすシングルマザーです。自宅のように寛げることができる店を作りたいと5年前にオープンしました。

店名の「ムッシュクルクル」は、クレープの生地を「クルクル」回し混ぜる様子と、客が「来る来る」という千客万来を願い、またフランスの郷土料理なので仏語っぽい「ムッシュ」を頭に付けました。
■パリパリっとしたパイ生地に様々な具材を…フランスの厚焼きクレープ「パスカード」

店の看板メニューが、フランスの厚焼きクレープ「パスカード(Pascade)」です。
女性客:
「生地はパイで、パリパリです。噛んでいるとパリパリ音がします」
パスカードは、フランス中南部、オーベルニュ地方の郷土料理。日本のクレープと形は違いますが、厚焼きクレープのことで、器状に焼き上げたデニッシュのようなパンの中に、色んな食材を入れて楽しみます。

すべて山田さんの手作りのパスカード。まずは厳選した小麦粉にバター、砂糖などを合わせ、型に入れて200度のオーブンで15分ほど焼きます。すると、ふちが盛り上がって器の形になります。 本場の味はかなり濃厚なため、山田さんはバターと砂糖を減らし、日本人の口に合うようにアレンジしています。

おすすめは「フードパスカード チキンビネガー」。少し酸味が効いて、ヘルシーで女性に人気のメニューです。

注文を受けてからおかずを作り、焼きたてのパスカードの中に野菜と一緒に盛り付けます。こんがりと焼かれた生地の中に、チキンと野菜がたっぷり。ピザのようにカットして頂きます。

外側の生地は上部はサクッと、下の方はモチっとした不思議な食感。チキンにもよく合います。お好みで別添えのマッシュポテトやレモンをかけ、3種類の味が楽しめます。
■食後にシェアして食べる女性客も…フルーツたっぷりのスイーツ系パスカードも

パスカードには、フルーツや生クリームなどを入れたスイーツ系と、シチューや肉などを入れた食事系があります。食事系はグラタンやラザニアなど、5種類から選べます。おすすめはセットメニューの「フードパスカードAセット クレープ・ドリンク付き」(1580円)です。

スイーツ系のメニューも人気です。

「パスカードスイーツ 焦がしキャラメルチョコバナナ」(740円)など、食事系のパスカードの食後に、数人でシェアする女性も多いそうです。
■結婚、出産、離婚、元夫の借金…波乱乗り越え開店したママのためのカフェ

山田さんは、元々クレープの移動販売をやっていました。ある日、知り合いのパティシエから、フランスの厚焼きクレープ「パスカード」の存在を知りました。初めて食べた時、“これは当たる”と思ったといいます。
28歳で結婚し長男を出産しましたが、翌年離婚。トラックの運転手や飲食店の店員など仕事をかけ持ちしながら、女手ひとつで息子を育てました。

山田さん:
「離婚したばかりのころは、前の旦那さんの借金を抱えていて…。400万円くらい」
別れた夫の借金を全て返済。その後、徐々にお金が貯まり、気付けば貯金上手に。その資金を元に40歳を機にクレープの移動販売を始めました。

そして、5年前にカフェ「ムッシュクルクル」をオープン。他にはないパスカードが口コミで徐々に広まり、“美味しくてママがゆったりできる店”と評判になりました。
女性客:
「かわいいんですよ。女子会に使えそうな…男子がいると違和感がありますよね」

しかし、コロナの影響は大きくありました。
山田さん:
「めちゃくちゃキツいです。もう閉めようかと…。絶対、意地でも借金してでも閉めません。(一度)やったら、ずっと続けるので」

山田さんは「もっと店を繁盛させ、のし上がっていきたい」と夢を語ります。
「ムッシュクルクル」は名古屋市西区中小田井にあります。