東海3県で4日、初めて変異ウイルスの感染者が確認されました。一体どういうものなのか、今後広まってしまわないかなど、市民から心配の声が上がっています。

 感染したのは岐阜県在住の50代女性で、「南アフリカ」由来の変異ウイルスです。女性は軽症で、これまでのところ海外への渡航歴や不特定多数との接触はなく、感染経路は不明です。

 東海3県では初めて確認された変異ウイルス。全国的に見てみると、東京や神奈川の首都圏を始め、大阪や兵庫、南は鹿児島まで19の都府県で確認されています。

 変異するとどうなるのかや、ワクチンの効果などについて、感染症対策に詳しい愛知県がんセンター病院の伊東直哉先生に聞きました。

 先生によると、ウイルスは変異すると一般的には「感染力が高まる」とのこと。今回岐阜で確認された南アフリカ型でいえば、「従来のコロナウイルスと比べ感染力がおよそ50%増加」することがわかっています。

 そして、変異ウイルスの検査は「新規陽性者全員を検査しているわけではない」とのこと。国が各自治体に求めている変異ウイルスの検査は、新規陽性者のうち現状でおよそ5%~10%。

 東海3県の状況を見ても、愛知は国の要請に準じて5%~10%。そして三重では10%。岐阜は直近では新規感染者の数が減ってきたため半数以上を検査できているそうですが、それまではやはり5~10%と、一部を抽出しての検査となっているのが現状です。

 ちなみに神戸市では、独自に国の基準を大きく上回るおよそ60%の新規陽性者を調べていますが、3月1日の市長会見では「新規陽性者の半数以上が変異ウイルスに感染している」との発表がありました。

 東海地方でも「すでに市中にある程度拡大していると思われる」と伊東先生は話しています。

 またワクチンの効果について、伊東先生は「ワクチン効果の低下が懸念される」と指摘。ウイルスの中に「E484K」という変異があると、せっかくワクチンを打って抗体を作っても、そこから逃げる性質があるため、効果は3分の1程度まで落ちるそうです。

 伊東先生は「これまで通り1人1人感染防止対策をきっちりやるだけ」とも話していて、必要以上に恐れずに、これまでの対策の徹底を求めていました。