東日本大震災から今年で10年が経ちました。災害時の備えとして用意するべき「避難セット」は、定期的に中身を見直していますか?

 災害支援のプロに「今見直したい避難セット」を聞くと、コロナ感染予防グッズから、避難所で意外に役立つラップやペットボトルなど身近なモノがありました。

■用意はしているものの中身を知らない人多数…万が一に備える「避難セット」

 街で、避難セットを用意しているかを聞きました。

男性(40代):
「店に売っている一つに固まってるやつを、一つ置いてます。賞味期限切れているかも。(購入は)3年前くらい」


女性(10代):
「(準備を)してるはしてるんですけど、出したことがない。袋自体はあるんですけど」


男性(20代):
「懐中電灯とか水とかあった気がします。ここに置いとくからって(親に)言われて…」


 「避難セットを用意しているが、中身はよく知らない」という人がほとんどでした。

 そこで、被災地支援団体の理事で、災害支援のプロのNPO法人「レスキューストックヤード」の浦野愛さん(44)に、「すぐにでも見直したい避難セット」を教えてもらいました。

■マウスウォッシュが効果的…災害支援のプロが説く「口の中の衛生」の重要性

レスキューストックヤードの浦野さん:
「自宅から予定している避難所までの距離を想定して、重さを検討されるといいと思います」

 浦野さんが用意したリュックは約15キロ。中には、マスクや除菌シート、体温計など、コロナ対策のアイテムに、使ったものを捨てる袋など、およそ50点。

 浦野さんは、口の中の衛生を保つことは、誤嚥性肺炎や、感染症の予防に大切なので、水がない時でも使えるマウスウォッシュもあると効果的といいます。

■炊き出しは名古屋では「4日目以降」…発生後3日間分の水と食料の備えを

 非常食については「(避難所では)最初の3日くらいは水も、1人当たりにいきわたる食事も十分でないことが想定される」と話します。

 名古屋市の避難所では、避難者3日分の食料を備蓄。おにぎりやパンの支給をはじめ、炊き出しは4日目以降と想定されています。

 非常食は、水、ビスケット、アルファ化米の3種類。アルファ化米とは、炊いたり蒸したりしたお米を熱風で急速乾燥させたもので、お湯や水でご飯に戻り、27品目のアレルギーにも対応しています。

 その他には、野菜ジュースなどでビタミンも摂取。サプリメントなども、用意しておくと効果的です。

■数々の避難所に足運び得られた教訓…入浴できない時に便利な「おしりふき」

 10年前の東日本大震災で、数々の避難所に足を運んだ浦野さん。過去の教訓から、ぜひ避難袋に入れておくべきと話すのは、おしりふきです。

浦野さん:
「デリケートゾーンに使っても、荒れたりただれたりしにくい。私も東日本大震災のときに10日間お風呂に入れなかったんですけど、持っていると安心かなと」

 また、避難生活が長引くと風呂に入れないため、消臭剤やスキンケア用品はぜひ準備しておきましょう。

■貴重な水を節約するために…災害時に重宝する「料理用ラップ」と「ペットボトル」

 身の周りにあるモノで重宝するのが、料理などで使うラップです。災害時、水道管の破損などで起きやすいのが断水です。断水すると皿が洗えないため、事前に食器にラップを被せておけば、皿は汚れず、水洗いの必要はありません。

 また、ラップを2~3回ねじって紐にしたり、その紐をつなげれば、意外に丈夫なタオル掛けになります。そしてもう1つ重宝するモノが、ペットボトルです。

浦野さん:
「画びょうで穴をあけます。するとシャワーの様に出るんですね。ここで手を洗うことができます」

 貴重な水を、穴から少しずつ出し大切に使う。節水に一役買います。そして、空のペットボトルにお湯を入れたら、湯たんぽにもなります。

 浦野さんは、「家族と一緒に、『避難所に持っていくなら?』をテーマに楽しみながら、準備をしてもらいたい」と話しています。