10年前の東日本大震災では、多くの犬が犠牲になりました。鳴き声やアレルギーの問題で、避難所で受け入れを拒まれるケースもありました。大きな災害が起こる前に、今できる飼い主の備えとは。

■はぐれる事も想定し首輪には「迷子札」を…犬を避難所に預ける際に用意すべき5品

 災害時にペットはどうするか、街で聞きました。

男性(40代):
「絶対連れていきますけど、どうすればいいですかね。(避難所に)連れて行って迷惑ですよね」


女性(70代):
「ペット嫌いな人もいるしね。連れて行こうと思っても、そこ(避難所)が迎えてくれるかですよね」


 ペットを飼っている10人に聞いたところ、全員が「よく分からない」という結果でした。

 岐阜市の犬のしつけ教室「ONE Life」。この日、前日の夜に大地震が発生した想定で、ペットの避難所を開設する訓練が行われました。

 訓練には犬と飼い主8組が参加。飼い主は持参したケージに犬を入れて預けます。

 犬の避難訓練に参加するため、江ノ口さん(53)は、トイプードルのナッツくん(2)を連れてきました。

江ノ口さん:
「犬にもちょっとずつ慣れてほしいなっていうのもありますし、助かります」

 出来上がったペットの避難所。犬が動揺しないよう、ケージとケージの間には仕切りも置かれています。こちらでは災害時、先着順に約50匹の犬を受け入れる予定です。

 家庭犬のトレーナーによると、犬を預ける際、飼い主に準備してほしいものは、リード、ケージ、餌、水、ご飯用の器の5点。

 万が一、避難する際にはぐれてしまうことも考え、名前と連絡先を書いた「迷子札」を首輪につけておくといいとアドバイスします。

 この日の訓練は、飼い主が迎えに来て半日で終了。実際には、最長2か月ほど預かってもらえます(1泊6600円)。

ペットを預けた男性:
「人間だけが訓練していても仕方ないので。災害だけじゃなく、(自分たちが)コロナにかかったら、もう世話する人がいないので」

トイプードルを預けた江ノ口さん:
「こういうのが広がっていって欲しいとすごく思いました」


■訓練で学んだ犬の防災セットを用意…エサ用の皿やトイレシートなど20点の備え

 訓練から1か月。訓練前には、「エサを余分に購入しておくこと」くらいしか頭になかった江ノ口さん。ペットについての備えは変わったのでしょうか。

江ノ口さん:
「防災セットという頭がなかったので。避難訓練に参加してすごい勉強になりました。犬は犬用の水、できれば水道水がいいらしいですけど、用意しております」


 江ノ口さんは訓練後、エサ用の皿やトイレシートなどおよそ20点を購入(総額約5000円)。

 また、避難所となる近所の小学校に確認したところ、ペットを受け入れてくれることが分かりました。このように事前の確認が大切です。