新型コロナウイルスのワクチンについて9日、田村厚生労働相から会見でこんな発言がありました。

田村厚労相:
「アメリカ・イギリスに比べると多いように見えます」


 何が多いのかというと、アナフィラキシーの報告数。アメリカでは100万回あたりに5例ですが、日本はこれまでに10万7500人の医療従事者に接種した段階で17例の報告があります。

 厚生労働省には9日までに17件のアナフィラキシーの報告が入っていますが、男女別で見ますと全てが女性で、男性の報告はありません。

 年代別で見ますと50代が4人、40代が3人、30代と20代がそれぞれ5人となっています。症状の出た人のほとんどは喘息やアレルギーなど基礎疾患があり、基礎疾患がない、あるいは不明で症状が出た人は3人でした。

 3月5日に報告があった30歳代の女性は、接種後5分以内に咳が見られ、その後呼吸が早くなり、まぶたの腫れ、全身のかゆみなどの症状が見られたということです。投薬後、症状は改善しました。女性は喘息などの基礎疾患を抱えていました。

 また3月8日に報告のあった40代女性は、接種後10分以内にのどの違和感や咳が発生し、その後息苦しさや冷えの症状がみられましたが、投薬後症状は改善し、入院治療を受け快方に向かっています。この女性は基礎疾患などはありませんでした。

 このほか、報告事例の中には「手足のしびれ」「じんましん」「赤くはれる」などの報告がありましたが、いずれも投薬などにより症状は改善し、早期に回復しています。

 こうしたアナフィラキシーに関する報告について、感染症対策に詳しい愛知県がんセンター病院の伊東直哉先生に聞いてみました。

 まず、日本の報告数が多く見えることについては「日本の接種回数はアメリカなどに比べて圧倒的に少ない。データを慎重に解釈する必要がある」として、ワクチンのリスクについて判断するのは早いとの考えです。

 日本では報告された全ての事例が女性でしたが、これについては「アメリカでもファイザー社製ワクチンのアナフィラキシー反応の報告は94%が女性。コロナワクチンに限らず、女性にアナフィラキシーが多いことは報告されているが、原因ははっきりとは分かっていない」ということで、コロナワクチンが特異なわけではないとの見解です。

 その上で伊東先生は「接種をためらうような重篤な副反応の報告は今のところはない。ワクチンの接種はリスクを伴うが、接種によって期待できる効果がある」と話しています。

 報告されたアナフィラキシーについて、厚生労働省は12日に専門部会で分析し、情報を提供することにしています。