23日に発表された地価公示は、新型コロナが色濃く反映されています。

 名古屋の繁華街・錦三丁目では、標準値の変動率がマイナス15.2%と、東海地方の商業地で最も下落率が大きくなりました。

「会食の需要が減少し閉店や休業店舗が見られ、地価は下落に転じた」と、コロナが原因とみられています。

 さらに愛知県で商業地の下落率が大きかった地点を見てみると、6カ所のうち5カ所は錦・栄・金山地区の飲食店や小売店などが入るビルです。

 また、名駅地区はオフィスの多い駅の東側ではなく、飲食店が中心の駅の西側のビルです。飲食店の多い歓楽街・繁華街が、コロナの影響を大きく受けていることが反映されています。

 東海地方の観光地は明暗を分けています。伊勢市の「おはらい町」は厳しい状況の中でも、「集客力は高く潜在的な需要は強い」ため、プラスマイナスゼロで去年と同じでした。

 高山市の「古い町並み」はマイナス12.2%と、3大都市圏を除く商業地で最大の落ち込みです。要因については、「国内外からの観光客が激減し、店舗や宿泊施設の需要が減った」としています。

 どちらも人気の観光地ですが、インバウンドへの依存度が高かった高山市の方が大きな影響を受けたと言えそうです。

 さらに緊急事態宣言が出た東京・大阪と比べてみると、東京の銀座はマイナス12.8%。外国人観光客に人気の浅草はマイナス12.2%%と、東海地方と同じような落ち込み。

 大阪はさらに深刻で、観光客にも人気の繁華街「ミナミ」の道頓堀はマイナス28.0%と、全国で最大の下落率となりました。

 コロナの影響が出る前の前年の地価調査では、都市部の商業地は上昇率が2ケタを超える調査ポイントがずらりと並んでいましたが、まさに急転直下の地価下落となりました。