愛知県知立市に、2020年10月にオープンしたばかりの「フルーツ最中」が人気の和菓子店があります。

 パリパリの最中に求肥が敷かれ、その上に2種類のあんこと、新鮮なフルーツが盛られたこの新感覚の和菓子は、今、女性の間で話題となっています。

■見た目からSNSで話題に…その時季に旬な果物を使った鮮やかなフルーツ最中

 愛知県知立市に「フルーツ最中 十み果(とみか)」はあります。店頭には、その時季最も旬なフルーツを使った、常時10種類のフルーツ最中が並びます。

 お皿のようになった白やピンクの最中の上に、バナナやリンゴなどが練りこまれた2種類のあんこと、イチゴやメロン、ブドウなど旬なフルーツが乗り、色鮮やかです。

女性:
「見た目、すごく可愛かったです。いろんな種類があって」

別の女性:
「写真の撮り甲斐がありそうだなと思いました」

 その見た目からSNSで火がつき、女性を中心に話題となっています。

■パリパリ感にこだわり最中は個別包装…つぶして食べて独特の食感を楽しむ

 午前8時。開店前、店では果物の盛り付けをしていました。最中の皮の上に、求肥にあんこ、そしてフルーツを乗せ、もう1枚の皮は横に据えます。

 最中は、そのまま上に被せるとフルーツから出た水でパリパリ感が損なわれるため、個別包装しています。手間はかかりますが、こうすることでフルーツのジューシーさと皮のパリパリ感の両方が楽しめます。

 開店前から店先には列ができ、午前10時に開店すると、続々と人が入っていきます。先頭に並んでいた女性は、18個購入しました。

先頭に並んだ女性客:
「先日来たんですけど、もう完売で悔しくて。今日頑張ってきました」

別の女性客:
「和洋折衷な感じで、楽しいかなと思って」

リピーターの女性客:
「フルーツは新鮮、ジューシー。フルーツだけではなくて、最中の味とあんこの味が生きているというか」


 見た目が美しいフルーツ最中ですが、このままだとかぶりつけないため、食べる時は上下につぶして食べます。

 少しもったいない気がしますが、そうすることでフルーツとあん、求肥、最中が一体となり、独特の味わいと食感を楽しむことができます。

■人気No.1は「いちご」の最中…バナナあんと合わさると酸味が薄れ甘い味わいに

 今の時期の人気ベスト3を聞きました。第3位は「マンゴー」(550円)です。合わせるのは、ミルクあんとつぶあん。ミルクを練り込んだあんことマンゴーが合わさることで、まろやかな甘みになります。

 第2位は、長崎のブランドフルーツ「恋みかん」(550円)です。ピーチあんと白あんを組み合わせます。2つの甘さが相乗効果を生み出します。カクテルのファジーネーブルをイメージして作られました。

 そして、第1位は「いちご」(550円)です。旬のいちごに「バナナあん」と「きなこあん」の組み合わせ。いちごにバナナのあんが合わさると、意外にもいちごの酸味が薄まり、甘味が強調されます。きなこの香りが「和」を生みます。

店長:
「フレッシュなイチゴと、バナナあん、きなこあん。どれもはずせない。三位一体だからこそ、味わえる最中」

 さらに、2021年1月に新商品「フルーツきんつば」(1個260円)が誕生しました。フルーツを、2種類のあんこと一緒に包みました。

 最中と同じく色鮮やかで、見ているだけでも楽しい和菓子です。

■元々はラーメン店を経営…コロナ禍で“テイクアウトできる”最中へ事業転換し成功

 行列のできる人気店となった「フルーツ最中 十み果」ですが、店のオープンには新型コロナの影響がありました。オーナーの富山貴史さんは、ラーメン店を経営をしていましたが…。

オーナーの富山貴史さん:
「コロナの中、飲食店だけをやっていくより、もう1つテイクアウトを使った何かをやろうと考えて…」

 結局ラーメン店を閉めた富岡さんは、自らが好きでテイクアウトができる和菓子に着目。韓国の「トゥンカロン」というカラフルな菓子をアレンジして「フルーツ最中」を考案しました。

 提供するものは、ラーメンから和菓子と大きく変わりましたが、食べ物を扱うことに変わりはなく、店のオープンはスムーズにいきました。逆に、想像以上の反響に当初、戸惑ったといいます。

富山さん:
「予想以上の反響でして…。皆様にすごく来ていただいて、ありがたいんですけど…」

 殺到する客に、商品の製造が追いつかず…。嬉しい悲鳴が続いています。

 正午。結局この日は、昼に完売。手作りのため作れる数に限りがあります。その分、1つ1つにまごころを込めて。

 オーナーの富山さんは、「コロナ禍で大変な状況だからこそ、フルーツ最中を食べて少しでも幸せな気持ちになってほしい」と話します。

 「フルーツ最中 十み果」は、愛知県知立市にあります。