岐阜県の各務原市に、つけ麺やまぜそば、味噌ラーメンに、ベトコンラーメンまで、様々なラーメン店が軒を連ねる県道があります。

「ラーメン街道」と呼ばれるこの道沿いに、ラーメン店が集中した理由は、15年前にある店が偶然出店したのがきっかけでした。

■5キロの間に10店舗以上が軒を連ねる人呼んで「ラーメン街道」

 岐阜県各務原市の中央を東西に通る県道152号線「いちょう通り」には、5キロの間に10店舗以上ラーメン店が並びます。この県道はいつしか地元では、「ラーメン街道」と呼ばれるようになりました。

男性客:
「一本(の通り)で色々店があるので、いっぱい選択肢があるのでいいかな」

別の男性客:
「今日、最初『壱正』に行こうと思ったんですけど『なげやり』に来ました」

■一番人気は「つけ麺」…15年前街道に最も早くオープンした『らーめん なげやり』

 一番の激戦区では、500mほどの間に5店舗が並びます。その中で最も古いのが15年前にオープンした、連日行列ができる人気店「らーめん なげやり」です。

男性客:
「1時間並んだ甲斐がありました」

別の男性客:
「つけ麺の旨味が濃縮されて美味しい」

 店の一番人気は「つけ麺」(850円)です。つゆは岐阜県産の豚と鶏、それに魚介を合わせたWスープ。そこへ酢と特製の醤油ダレ、香味油を加えて、クリーミーでしっかりとした味に仕上げます。

 麺は国産と外国産高級小麦をブレンドし、コシを強くしました。その分、濃厚なつゆによく絡みます。

■一番人気は「北海道味噌炙りチャーシュー乗せ」…味噌ラーメンの専門店『麺屋壱正』

 11年前にオープンした味噌ラーメンの専門店「蔵出し味噌 麵屋壱正」も、多い日には500杯が出るほどの人気店です。

男性客:
「味噌ラーメンでも他とコクが違いますね。チャーシューも炙ってあって香ばしいですね」

別の男性客:
「味噌(ラーメン)が好きで、中でもここが一番美味しいかな」

 メニューは味噌ラーメンのみですが、九州味噌に信州味噌、北海道味噌と3種類を楽しめます。

 中でも人気は、辛口で味が濃い「北海道味噌 味噌漬け炙りチャーシュー麺」(1166円)です。

 客に提供する直前に、味噌漬けして作ったチャーシュー3枚を炙ってトッピングします。こちらも中太麺に味噌スープがよく絡みます。

■モチモチの極太麺に特製タレが絡む…“まぜそば”が人気の『麺場花道』

 2020年1月に開店したのが、「麺場花道」です。

男性客:
「まぜそばは、この辺ではここが一番おいしいかな」

女性客:
「麺がツルツルでモチモチしてて、すごくおいしいです」

 多くの客が絶賛するのが、「まぜそば」(890円)です。魚粉と特製のタレを全粒粉を使った、モチモチな自家製極太麺としっかり絡ませます。そこへゴロッとしたチャーシューに、たっぷりの水菜、青ネギ、海苔、卵黄が盛られます。

 どの店も、地元の人だけでなく遠くからラーメンマニアも訪れる人気店です。

■最初に出店した店が大繁盛…ラーメン街道誕生のきっかけは「つけ麺ブーム」

 各務原の県道沿いが、ラーメン街道になったのは「偶然」でした。15年前、この通りにいち早く出店した「なげやり」の店主に話を聞くと…。

「らーめん なげやり」の店主:
「岐阜県庁の周りで探していたんですけど、全く自分が気に入った店舗がなかったので…」


「らーめん なげやり」は、当初岐阜市に出店する予定でしたが、いい物件がなかったため、各務原市のこの県道沿いに店を出しました。

 立地が希望の場所でなかったこともあり最初は不安もあったそうですが、当時おこった「つけ麺ブーム」に乗り、すぐに繁盛店となりました。

 地元の人にこの県道について聞くと…。

男性客:
「飲食店多いし、岐阜市へ行く道なので結構人通りも交通量も多いですね」


 大きな通りではないものの、この道沿いは交通量が多くたくさんの人が行き来する好立地でした。その「なげやり」の繁盛ぶりから立地に注目が集まり、徐々に通りにラーメン店が増え始めました。

■「ラーメン街道」の力に驚愕…相乗効果期待し出店したらすぐ人気店に

 丁度その頃に出店した「蔵出し味噌 麵屋壱正」も、この県道が気に入り出店した店の一つです。

「蔵出し味噌 麵屋壱正」の担当者:
「最初の3年はお客さんが全然入ってくれなくて、苦労したと聞いています」

 しかし、その後「蔵出し味噌 麵屋壱正」も繁盛店となりました。2020年1月に出店したばかりの「麺場花道」は、激戦区の相乗効果を期待して出店したといいます。

「麺場花道」の店主:
「ラーメン街道っていう噂を聞きまして。(激戦区への出店は)逆に好奇心ですね。楽しそうだなと思って」


「麺場花道」も、オープンしてすぐに毎日約250人が来店し、多い日は約30人の行列ができる人気店になりました。「麺場花道」の店主は、想定外の人気に「ラーメン街道」の力に驚いたといいます。

■店主「お客さんの協力があって店が続けられる」…コロナで客数減も常においしいラーメンを

 ところが、2020年4月には、新型コロナの影響で目に見えるように客が減りました。その後、どの店舗も客にマスクの着用をお願いをしたり、アルコール消毒の徹底に、カウンターに仕切り板を置くなどの感染対策をして営業を続けています。

「らーめん なげやり」の店主は、「マスクの着用など、お客さんの協力があり店を続けられているので『あそこで食べて楽しかったよね』といわれる店にしていきたい」と話します。

「各務原ラーメン街道」は、各務原市役所の北の「いちょう通り」です。