新型コロナウイルス感染者で退院や隔離生活後もおよそ半数の人が、倦怠感や息苦しさといった特有の症状を抱えているといいます。4カ月たった今も後遺症に悩まされている愛知県の男性を取材しました。

吉田さん:
「本当に今でもつらい思いをしている」

 愛知県春日井市で、カバンなどの皮製品を製造する吉田義彦さん。今年の初め、新型コロナにかかりました。

吉田さん:
「(1月)5日の夜に娘の彼氏が家に来まして、家族全員でご飯を食べて、その後に(彼氏が陽性と)連絡が来たんですけど。僕だけが陽性で、他の子供たちは全員陰性で」


 PCR検査により感染が判明した義彦さん。さらに翌日、発熱を訴えた妻の有美香さんも陽性だと分かりました。

吉田さん:
「本当にすぐ近くにコロナっているんだなと」


 保健所からの連絡を受け、療養先の宿泊施設へ…。

吉田さん:
「全部が薄い味、塩味だけ強烈に分かる。他の味はすごく薄くて、なので食べ物がみんな塩辛いんですよ」

 味やにおいの異常を感じながら、10日間の隔離生活を終え自宅へと戻ってきました。再び元の生活に、そう思っていましたが…。

吉田さんの妻:
「主人の方は後遺症が出た」

吉田さん:
「お風呂で頭を洗っていた時に、ふと何の匂いもしないなと、石鹸で洗っているのに。そこからずっとですね」

 吉田さんの嗅覚障害は続いていました。さらに…。

吉田さん:
「胸の痛みが。(病院で)胸が苦しいので診てくださいと検査してもらってなんともない。(医者が)『コロナの後遺症だわ』と。荷物をちょっと運ぶだけで、ハァハァ言っちゃって動けなくなってというのが、まだちょっと残ってますね」


 退院や隔離生活の後も続くコロナ後遺症。感染者のおよそ半数が発症から2カ月たっても、倦怠感や息苦しさなどといった症状を訴えていることが、国の調査で分かっています。

 今年2月に専門の相談窓口を開設した名古屋のクリニックでは…。

末盛内科クリニックの伊藤院長:
「(来院する)ほとんどの方が全身倦怠感を訴える。あとは味覚障害・嗅覚障害。不眠になられる方もいれば頭痛に悩まれる方もいて。病態としてはすごくつかみづらいというか、なかなか手ごわいのかなと」

 伊藤院長によるとこの後遺症は、一般的に感染時の症状が軽いとされる若者に特に多くみられ、約半数が20代・30代が中心で、症状自体は軽くても、後遺症で数カ月悩まれている人もいるということです。

 感染時の重症度と後遺症の重症度が必ずしも一致しない新型コロナ。この症状がいつまで続くのか、吉田さんは不安を抱えながらの生活を送っています。

吉田さん:
「僕もかかるまでは、全然大きなことに考えてなかったです。実際にかかると、本当に今でもつらい思いをしている。みんながみんな本当に真剣に気を付けないと、本当につらい目に遭うよと。ならないと分からんでしょうね」