長男を保育園へ送り長女おんぶして開店準備…自宅の一角に評判の『プリン専門店』 子育てママ奮闘の1日

　三重県いなべ市にある「いなべプリン店」の店主、日置愛彩さん。夫と保育園に通う二人の子供を持つお母さんです。6年前に自宅の一角で店をオープンし、子育てをしながら自慢のプリンを販売しています。

女性客:
「美味しくて大ファンです。手作りで愛情たっぷりなのでどれを食べても美味しいです」

別の女性客:
「卵とかの素材の味がすごくよくて、（子供に）食べさせるなら素材を大事にして食べさせたいなって」

　愛彩さんが作るプリンは全部で7種類。定番の「カリカのプリン」（300円）は、かためのプレーン味。プリン本来の味が楽しめると評判です。「よそいきプリン」（380円）は、素材の上品な甘さが特徴的なプリンです。

　他にも、「コーヒープリン」（450円）や「抹茶のプリン」（550円）、「チャイプリン」（450円）など豊富なバリエーション。愛彩さんは、「とろとろとした“なめらかプリン”ではなく、食べてスッと広がる感じを意識して作っている」と話します。

■使うのは地元の牛乳や卵などこだわりの食材…1日300個以上作る日も

　愛彩さんのプリン作りは店の営業中、接客の合間に行っています。子供の面倒も見ながらで大変ですが、決して手は抜きません。この日の仕込みは「カリカのプリン」。

　材料となる牛乳は、三重県産の「大内山牛乳」。地元のものを使うのが愛彩さんのこだわりです。味の決め手となる卵は、車で5分ほどの所にある地元の養鶏場「いっちゃんたまご」に、週に一度は足を運び仕入れています。

　こだわりの卵に温めた牛乳を加え、卵液を作ります。さらに生地の中に卵白でダマができないよう、目の細かい濾し器で濾していきます。カラメルソースも愛彩さんの手作りです。

　店の営業は週に5日。多い日には、1日に300個以上のプリンを作っています。

【この記事の画像集を見る】

■カフェで出したプリンが評判に…夫の地元へ移住しプリン専門店をオープン

　愛彩さんは、名古屋の製菓専門学校を卒業後、26歳の時、実家のある鈴鹿市でカフェをオープン。店で出していた手作りプリンがお客さんの間で評判となり、いつかはプリンの専門店を持ちたいと考えるようになりました。

　そして、29歳で美容師の夫と結婚。夫の地元・いなべ市へ移住し「いなべプリン店」を開業しました。子育てをしながらの開店。苦労はしましたが、お客さんからの「おいしかったよ」の声に支えられたといいます。

■長女をおんぶしながらの開店準備…店主と母親の二足のわらじ

　今も忙しい毎日。愛彩さんの1日は、長男を保育園へ送ることから始まります。その後、車を走らせ向かったのは、愛彩さんのプリンを委託販売している地元の雑貨店。この店の客からの評判も上々です。

　店に戻ると、長女をおんぶして開店の準備。グズる娘をあやすこともしばしばです。

　そして午前10時に開店。この日は、愛彩さんのプリンの大ファンだという中学時代の同級生が来店しました。

中学時代の同級生:
「温かいというか、愛彩ちゃんっていう感じの愛を感じますね。魅力溢れる人なので」

　手の空いたタイミングを見計らって、長女とお昼ごはん。店主と母親の二足のわらじ。すべてを一人でこなしているため、休む時間はありません。

■いなべをもっと知って欲しい…地元のお茶で作ったオリジナルプリンを販売

　愛彩さんは、地域の活性化にも取り組んでいます。2015年に始まった町おこしの企画「いなべの茶っぷりん」に参加。市内の菓子店やレストランが、いなべのお茶でオリジナルのプリンを考案し、同じ名前で売り出しています。

　愛彩さんが作る「茶っぷりん」（450円）は、煎ったほうじ茶を牛乳で煮込み、味をまろやかにするため生クリームも使っています。

愛彩さん：
「企画した当初はここに来てすぐだったので、いなべ市の人と喋れたりとか、きっかけをもらったプリンでもあります」

　愛彩さんは、いなべプリンのキャラクター「プリオくん」のグッズも作っています。将来の夢は、いなべをもっと知ってもらうために、アンテナショップを作ることです。

【この記事の画像集を見る】