突然の車のトラブル、その時頼りになるのがロードサービスの「JAF」です。今年はコロナの影響でトラブルの内容にも変化が出ています。隊員の1日を取材しました。

■コロナと猛暑の二重苦も…5秒でロック解除の手際の良さ

 車のトラブルを解決するJAFは、年間365日24時間体制です。救援に駆け付ける回数は去年だけで約216万件。14.5秒に1件の割合で出動しています。

 名古屋市昭和区にあるJAF名古屋中央基地。入社3年目の隊員、宮本さん(25)は、出動前に車の点検をしていました。車は元より三角表示板なども入念にチェックします。

 そして、猛暑の上に、コロナ対策でマスクをつけての作業となるため、熱中症対策も欠かせません。

JAF名古屋中央基地の宮本さん:
「水筒と支給された塩タブレット。これが美味しいと感じたらアウトですので、一仕事終えて、塩分消費したなと思ったら食べてます」

 午前11時、宮本さんの元に依頼が入ります。

 ハイエースの鍵の閉じ込みで、この日最初の出動。

 依頼した男性は、車内に鍵を残したままロックしてしまいました。

 まず鍵穴の周りに保護テープを貼り、専用の工具を鍵穴に。すると…。

依頼した男性:
「早っ!」


作業開始から5分。あっという間に鍵が開きました。

依頼した男性:
「早くて助かりました」

■コロナ禍の“外出自粛”による車のトラブルも

 車に戻ると、バッテリートラブルの救援依頼が入っていました。すぐさま現場に駆けつけます。

 依頼者の男性は、奥さんを病院に連れていこうとしたところ、エンジンがかからなかったといいます。

宮本さん:
「乗らないと、今時の車は電気を消費してしまうので。待機電力でずっとマイナスになっていったと思います」

 このところバッテリートラブルが増えたのは、最近の車がエンジンを止めていても、電気を少しずつ消費していることがあるためです。

 ドライビングレコーダーも「駐車監視機能」がついたタイプなどは特に電気使うため、思いがけず早いタイミングでバッテリーが上がるケースが多くなっています。

 宮本さんが、ポータブル電源とバッテリーを繋ぎ、エンジンをかけます。

 今年はこのバッテリートラブルが、例年に比べて特に多いそうです。

宮本さん:
「最近コロナの影響で車を動かさない方も多いので、もともとバッテリーが一番多い(トラブル)ですけど、それに拍車がかかって多くなっています」

 コロナ禍で外出を控える分、車に乗る機会も減ったためです。

■突然止まった車…「エンジンオイル入ってないです」

 午後1時、今度は車が動かなくなったと連絡が入りました。依頼した男性は、前日にオイル切れの警告灯が点いていたといいます。

 宮本さんが、運転席の下にあるオイルゲージでオイルの状況を確認します。

宮本さん:
「エンジンオイル入ってないです。普通勝手に無くなるものじゃないですから、漏れが酷いんじゃないかと思います」


 そこで、レッカー移動で車を近くのディーラーへ運ぶことにしました。

 まずは、けん引できるように、前輪をアンダーリフトに固定します。これでOKかと思いきや、後輪の横に補助輪を用意しました

宮本さん:
「この車は後輪駆動なので、前を持ち上げて後輪を転がしちゃうと変速機にダメージが入るので、後輪も上げます」

 重い後輪をテコの原理を使い、一人でさっと持ち上げました。

依頼した男性:
「やっていただけるのは、非常に貴重なサービスだと思っています」

 猛暑の中の作業。一仕事を終えての水分補給も欠かせません

■助けられた立場から助ける立場へ…現場では常に平常心で

 午後3時。ここで1時間の休憩。入社3年目の宮本さんにJAFに入ったきっかけを聞きました。

宮本さん:
「学生の頃、一人で運転している時に止まってしまって。その時JAF隊員に助けてもらって、作業が迅速で安全丁寧にやっていただいて。こういう仕事もあるんだなって思いました」


 JAFの仕事を目の当たりにしたことがきっかけでした。実際JAFの隊員となった今、宮本さんは、毎回違う現場のため、常に落ち着いて、いいサービスを提供する事を心掛けていると話します。

■セルフ式のガソリンスタンドの普及で『気づき』減る

 午後4時半。今度は名古屋市西区から救援要請が入りました。

 依頼した女性は、買い物から戻り荷物を下ろす時に、タイヤの空気が少ないことに気づきました。

 確認すると、タイヤに刺さったネジが…。

 こうしたトラブルが増えている背景には「セルフ式ガソリンスタンド」の普及も影響しているといいます。

 かつては給油の際に「エンジンルームを見ましょうか」など声かけをし、チェックしてくれていたのが、セルフ式が増えて点検がおろそかになることが増えているようです。

 JAFでは、遠出する場合は、出発前にディーラーや有人のガソリンスタンドでバッテリーやエンジンオイルの点検をしてもらうように勧めています。

 宮本さん、ネジで穴が開いた箇所にタイヤと同じ素材のゴムの棒を差し込み、補修。空気が漏れないかを確認し、余分な部分をカットして完了です。

依頼した女性:
「本当に助かりました。すぐ来てくれたし、安心しました」

 更にこの後も1件出動。午前11時から午後8時までの間で合わせて5件。暑い中、救援にかけつけました。

 最後に、仕事の魅力について聞きました。

宮本さん:
「お客様から『ありがとう』と言われることが、一番もうれしいです。モチベーションにはつながります。一人でやるには難しい作業とか、それを一人でやり遂げた時に達成感があります。すごく楽しい仕事だと思っています」