第570回 東海テレビ放送番組審議会
1.開催日
平成29年5月9日(火)
2.出席者
出席委員
浅田剛夫委員長、後藤ひとみ副委員長、臼田信行委員、大松利幸委員、金子慎委員、川谷陽子委員、黒野友之委員、福谷朋子委員、松原和弘委員、山岡耕春委員
社側出席
石黒大山代表取締役会長、内田優代表取締役社長、中嶋保雄取締役報道担当、古橋明取締役編成局長兼制作局長、春田亮介取締役総務局長、祖父江茂樹スポーツ局長、平光治コンプライアンス推進局長、喜多功報道局長、片島豊久スポーツ局次長兼スポーツ部長、渡辺克樹東海テレビプロダクションディレクター
3.議 題
- 「浅田真央 ~ラストメッセージ~」
平成29年4月16日(日)13:45~14:45放送(60分番組)を審議 - 報告:局に寄せられた視聴者からの意見、苦情等の概要(4月分)
- その他「私とテレビと東海テレビ」
4.議事の概要
1.審議番組について委員からは
- 衝撃の引退から短時間で放送されタイムリーだった。浅田選手や家族との長年の信頼関係があったからこそ密着取材ができ、母・匡子さんから託された映像と共に番組が放送できたのだと思う。
- 浅田真央選手の成長が幼少期から手にとるように見える構成になっていた。母・匡子さんの支えや、匡子さん亡き後の自立、引退間近には姉・舞さんの叱咤激励などもあり、精神面の変化も時間とともによく表現されていた。
- 試合を追いながら、その前後の出来事や浅田選手の気持ちが伝わるように、本人、姉の舞さん、コーチの方のインタビューを挟みながら、場面が適切に選択されて編集されていて、中身の濃い番組だった。
- 浅田選手には、これからは肩の荷をおろして、実り多い第二の人生を歩んでくださいとエールを送りたくなる番組だった。番組名「ラストメッセージ」は内容とぴったり合う良いタイトルだった。
- 世界中の多くのファンに囲まれ期待に応え続けた浅田選手に大きな感動をもらったし、教えられたことも多かった。ドキュメントではあるが、一編のドラマのような番組だった。
- 試合後に「何が足りなかったのか」と何度も尋ねていた質問は少し酷な感じがしたが、浅田選手の真摯な受け答えが逆にイメージアップにつながっていたと思った。
- 現役選手としてはラストなのかもしれないが、スケートから離れるかどうか分からない中、本人にとってのラストではないと思った。
- 競技人生を終えた浅田選手の新たな挑戦も密着取材し、番組にしてもらいたいと思う。
等、貴重なご意見をいただきました。
これに対し、社側からは
- 2003年から14年間浅田選手を取材し、今回が5本のドキュメンタリー番組。2018年のオリンピックに向け、浅田選手の再挑戦を取材していたが、引退表明を受け急きょ放送することになった。
- ディレクターはカッちゃんと呼ばれ、浅田選手はもちろん、お母さんからも非常に厚い信頼を得たことが今回の番組につながっている。浅田選手本人から「私の引退はカッちゃんに番組にしてほしい」との言葉もあり、今回の放送につながっている。
- 引退が決まった中、どのような番組にすべきか議論した結果、14年にわたって取材をした経緯もあるため、ストレートに時系列で「集大成」として放送した。
- 次のオリンピックまで現役を続けるものだと思いずっと取材を続けていたが、行く先々の試合で結果が悪かったりすると「もしかしたらこれが最後の試合になるかもしれない」と感じることがあった。そのため、ちゃんとインタビューしなければいけない、という思いが強くなり、意地悪に感じるような質問になってしまったのかもしれない。
- 選手・浅田真央の生きざまを、メッセージとして伝えるのはこれが最後になるということで、彼女の前向きな気持ちがメッセージになればいい、という思いで番組を制作した。
等、番組制作に関し説明がありました。
この他、委員と社側の間では
Q.どんなことが信頼につながったと思うか?
A.自分で考えてもこれというのはないが、浅田選手が小さいころから、練習をただ見みるだけのためによくリンクに行っていた。匡子さんは、そういう人を初めて見たとのことで、最初にすごく信頼してくれたことで、浅田姉妹にも信頼してもらえた。毎日毎日足しげく通ったことがよかったと思う。
Q.長年取材を担当したディレクターとして、今の気持ちは?
A.大変寂しいです。
等の質疑応答がありました。
2.社側から4月の1カ月間に、電話・文書・メールで視聴者から局に寄せられた、問い合わせや苦情等、1,936件の意見の概要を報告しました。
3.委員発言「私とテレビと東海テレビ」
自身とテレビとの関わりについて、委員が自由に発言する時間を設けています。5月は2人の委員から次のような所感・提言がありました。
ITの出現で、誰もがネットを通じ、簡単に私設放送局になれる世の中になった。一方、事件になる動画投稿は後を絶たず、テレビ放送もこうした影響を多分に受けているように感じている。放送は、情報が瞬時に広く世に流れるため、極めて高い公共性を有するとともに、必然的に社会的責任が問われることになる。行き過ぎたモラルの欠如にならないようテレビ局には頑張ってもらいたい。
例えば災害報道において、映像的に最も大きな被災状況を映し出すことに注力し過ぎているのではないかと感じる時がある。確かに「部分」としては事実なのだが、その裏に隠れている本質などもあわせて伝えてもらえると、情報に幅ができるのではないのかと思う。速さや映像の良さを競うだけではなく、付加価値をつけていくことで情報の差別化が図られれば、その局の番組をもっと見たいと思えるのではないか思う。