新型コロナウイルス感染予防のため、様々なイベントなどが中止されていますが、門出を祝う卒業式も例外ではありません。卒業式を行えなかった子どもたちや家族に思い出を作ってほしい…。三重県の旅館にそんな思いを持った一人の女性がいました。

 旅館で行われた、家族だけの「手作り卒業式」。そこで誰よりも大きな拍手をおくっているのは、三重県菰野町の旅館・彩向陽の小島暁子さんです。

小島さん:
「前日からコツコツと膨らませて…」

 ひとりで用意した風船はなんと200個以上。バランスを見ながら丁寧に取り付けていきます。何の準備をしているかというと…。

小島さん:
「みんなで作る卒業式、といった感じですかね」

「記念日の宿」として、誕生日や還暦などのお祝いを企画するこちらの旅館。新型コロナウイルスの影響で卒業式を行えなかった家族に、卒業をお祝いするプランを提案したのです。その企画を任されたのが、小島さんでした。

 これまでいくつものお祝いを経験してきましたが、今回は特に強い思いが。

小島さん:
「実はわが子も中学校を今年卒業して、卒業式がコロナの影響でできるかどうかっていうのがすごく親から見ても不安でした。やっぱり娘の門出っていうのはすごく特別」

 大切な門出のお祝いをお手伝いしたい。桜と新緑をイメージし、新生活を頑張ってほしいという願いを込めて部屋の飾り付けをしました。

 この日、大阪から卒業式プランを予約したご家族がやってきました。両親とこの春高校を卒業した正治さん、そして妹2人の5人家族です。

 実はお父さん、子どもたちには内緒で卒業式プランを予約していました。

父親:
「大学生と高校生になるので、なかなかこうやって集まる機会って少なくなるかなって思って。春休みの間に旅行に1回行けたらなっていうところですね」

 食事が始まったその裏では、ギリギリまで手描きのカードも作成。いよいよ“開式”です。

支配人:
「卒業証書、正治さま。あなたはここ記念日の宿・彩向陽にて、めでたく卒業式を迎えることになりました。おめでとうございます!」

 お兄さんの正治さんに続き、中学を卒業した妹の加奈子さんも卒業証書を受け取ります。

 そして最後は家族全員で写真撮影。無事卒業式は終わりました。

小島さん:
「5年10年経って、そういえばあそこの旅館でこんな卒業式したよねとか、思い出話として当館の話をしていただければ、すごく幸いだなと思います」

 思いが詰まった手作り卒業式…。この日、家族の思い出がまたひとつできました。