活躍の場を広げているドローン、愛知県豊田市で過疎地に商品を届ける「買い物支援」の実証実験が行われました。

 飛行ルート沿いの土地所有者への許可などハードルがつきまとうドローンですが、今回の実験では地域に残る「鉄道の廃線跡」を活かしてクリアしました。

 愛知県豊田市・石野地区。山と緑が広がる、のどかな集落です。その山の向こうからドローンが…。運んできたのは味噌や、どら焼きなどの食料品。

 このドローン、日用品などの買い物が難しい過疎地域での「買い物配送」の実験です。

 愛知県などが取り組んでいるこの実証実験。住民がインターネットなどで注文した商品を、ドローンが家の近くまで「空輸」するというもの。買い物弱者を助ける未来型のサービスです。

 この日、ドローンが荷物を運んだ空路は1.9キロ。ルートはプログラミングされ、操縦いらずの自動飛行です。今回のルートには、地域に残るある『遺産』が関係していました。

愛知県次世代産業室の担当者:
「いざ配送を考えた時に、個人の土地の上を1つ1つ許可を取得していくのはなかなかハードルが高い。『廃線跡を利用した』というのがキーワードになっています」

 草が生い茂った線路。2004年に廃線になった、名鉄三河線のものです。

 通常、ドローンを飛ばすには、ルート沿いの土地それぞれの所有者に許可を得る必要がありますが、廃線となったこの線路は現在、豊田市が所有。市の協力を得て、一本道の線路上空をコースに設定しました。

 提案したのは、元・持ち主の名鉄です。

名古屋鉄道経営戦略部の担当者:
「企画をする時に名鉄ならではのものがないかなと。廃線については地域の皆さまにご迷惑をおかけしたところもあったと思うんですけれども、その土地を有効活用できる方法を我々も一緒に考えて、地元の方と一緒に使っていくことができれば一番いいかなと思っています」

 使わなくなったインフラ跡を活用し、未来の生活を支える新たなインフラに…。

地元の男性:
「この辺はコンビニがちょっと行った所にしかないんで、買い物は不便な所ですね」

別の男性:
「(高齢者の)一人暮らしの方も多いものですから、助かるかもしれませんね」

愛知県次世代産業室の担当者:
「ドローンを使えば人を使わずに運べるというのが1つと、今はコロナの関係もあるので非対面で運べるというのもメリットの1つかなと。ドローンが飛んでいるという社会を皆さんに受け入れていただく、そういう社会的受容性の向上もこれから目指していかないといけないと思っています」