愛知県岡崎市の中根市長が公約に掲げた「全市民への5万円給付」。9日、岡崎市議会で審議が行われましたが、議論は紛糾。採決は延期されました。

 先日の市長選で一票を投じた岡崎市民は今、何を思うのか取材しました。

 10日朝、トレードカラーのオレンジのマスクをつけ自宅を出た中根市長。

中根市長:
「昨日はちょっと疲れましたけども、一晩寝たらまた気持ちを新たに。できれば議案の通り可決をしていただければと思っています」

 改めて「5万円給付」への意欲を示しました。

 9日の岡崎市議会では…。

簗瀬市議:
「岡崎市の長として、その責務の重要さをしっかり認識していただきたいと思います。議会を軽視をしているとしか考えられません」

 5万円給付の関連条例案を巡り、中根市長へ厳しい質問や意見が相次ぎました。

 そもそも、この5万円給付を実施するには、およそ195億円が必要です。中根市長は財源として、長年積み立ててきた市の貯金にあたる財政調整基金と、公園・美術館整備など5つの基金を今回一気に放出する構え。

 中でもおよそ23億円に上る東岡崎駅周辺地区整備基金は、名鉄東岡崎駅周辺の整備のための基金で、現在築60年以上の駅ビルを建て替える協議も進められていますが、基金がなくなれば岡崎市民の悲願も遠のく可能性があります。

中根市長:
「(新型コロナは)第三波が到来しているとみなすべき状況だと考えています。給付金は、まさにこの第三波にも対応しうる施策であると思っております」

 5万円給付はコロナ対策と市議会側に訴えましたが…。

野々山市議:
「財政調整基金を全て使い切る、正気の沙汰とは思えない予算案が示されていますが」

磯部市議:
「ちょっとあまりにも乱暴かなと。やってはいけないことやろうとしてるんじゃないかなと感じております」

 中根市長にとって頼みの綱、市側からも否定的な意見が…。

岡崎市の都市整備部長:
「(公園などの)施設の老朽化が進めば、使用禁止や閉鎖も含めた検討が必要となり、最悪の場合、使用できなくなる」

岡崎市の財務部長:
「コロナの今後の感染対応、南海トラフ巨大地震であるとか、近年頻繁する豪雨災害。こういった際の対応もできなくなる」

 まさに四面楚歌。採決は延期され、議会の会期は11月18日まで延長されました。

「全市民お一人に5万円還元」と先日の市長選で訴えていた中根市長。岡崎市民は今、何を思うのでしょうか。

岡崎市民(中根市長に投票):
「『当選したら確実に配りますと』というのがインパクトがあったので、選んじゃったんですけど。(基金を取り崩すの)だったら使わない方が、配らないほうがいいかなと思いますね」

別の岡崎市民(中根市長に投票):
「(投票の理由は)5万円給付の話はあったので…。ただ今のゴタゴタを聞いていると、災害の為に貯めたお金を崩すとか言っているので、そこまでするなら止めてほしいという気持ちもちょっとある」

また別の岡崎市民(中根市長に投票):
「周りが反対しとるもんで、できないじゃん。あの方は優しい人だよ、住民を大事にする人だよ」

岡崎市民(内田前市長に投票):
「そんなのはじめから貰えるなんて思ってないから、内田さんに入れたんよ。(市長選を)もういっぺんやって欲しいくらい、やり直しを」

 中根市長は、市長選に向けアップした自身のテーマソングの中で、こう訴えていました。

<テーマソング>
「使う目的考えなくちゃ 理想だけでは生きられない」

 果たして看板公約「5万円給付」は、理想ではなく現実になるのでしょうか…。