新型コロナの感染拡大が止まらない中、病院側が神経をすり減らしているのが、医療崩壊にも直結しかねない「院内感染」をどう防ぐかです。

 防止策にと今注目されているのが、キャンプ用のドーム。医療機関が注目するそのワケを取材しました。

 新型コロナの「院内感染」を防ぐため、愛知県内にあるクリニックが導入したのが、宇宙船のような白いドームです。ドームの中は、パーテーションや換気扇、空気清浄機などが揃い、感染対策を施した診察室になっています。

クリニックの院長:
「風邪の症状がある患者さんが何人も同時に来られた時に、どこで待ってもらおうというのがすごく困った問題で」

 その問題を解決したのが、ドームハウス。クリニックでは、発熱や咳などの症状があり新型コロナの疑いがある患者は、まずこのドームで問診を受けることになっています。

 医師と患者の接触を減らすため、タブレットを使ったビデオ通話を行い、その後必要に応じて検査へと移ります。

院長:
「クリニックが感染の現場にならないように、患者さんを診る場所が別にできたということは、すごく安心感があります」

 新型コロナの院内感染を防ぐ切り札。作っているのは、愛知県東郷町でキャンピングカーなどの開発や販売を手掛ける会社「ホワイトハウス」です。

ホワイトハウスの担当者:
「コンセプトとしましては、レジャーにも使える、そして災害にも使える、どちらにも使える商品ということで発売を開始しています」

 発売当初はキャンプ用にと買い求める人ばかりでした。しかし新型コロナの拡大に伴い、医療関係者の間で注目され、全国で200以上の病院やクリニックに導入されました。

 組み立てにかかる時間は、大人2人で約1時間半。必要なスペースは車2台分ほどで、色々なところに設置できることも需要が広がった理由です。

(リポート)
「こちらの医療用ドームハウスでは、車いすや担架の人も通れるように、広い入り口とスロープがオプションで付けられています」

ホワイトハウスの担当者:
「白い部分は高密度ポリエチレンという材質できているのですが、医療用の従事者が身に着けている化学用防護服と同じ材質なので。ウイルスを通過させない、ウイルスを付着させない」

 ドームは内側も外側も、水で洗うことができます。

ホワイトハウスの担当者:
「医療現場はもちろん、自然災害が起きた時に、避難場所がすし詰め状態になっている。そこでクラスターが発生したらと考えると、ぞっとすると思うんです。いざ有事の際に、それを組み立てて隔離スペースにするだとかということを、国や行政にも強く提案していきたい」