三重県四日市市で漂流したボートが救出されるまでの一部始終をカメラが捉えていました。

 時化の海を沖へ向かって進む1隻の船…。四日市海上保安部です。

海上保安官:
「お父さん、陸から助けます!待っててください!陸から行きます」

 駆け付けた先には、水に浸かり今にも沈みそうな手漕ぎボートの中で、両側の縁にしがみつく男性の姿がありました。

海上保安官:
「今伸ばして、伸ばして!お父さん、もう船はダメ、船はダメ!急いで」

 記録していた、救助活動の一部始終です。

 3月26日正午前、「四日市港近くで手漕ぎボートが漂流している」と目撃者から通報がありました。漂流したのは、四日市市に住む漁師の85歳の男性。

 海藻を採るため漁船に乗り1人で出航。ポイントに着いたところで、曳航していた手漕ぎボートに乗り換えました。

 しかし当時、四日市市の風速は15メートルで、強風注意報が出されていました。ボートは風にあおられ、時化の海を南東へ2キロほど流されてしまったのです。

海上保安官:
「お父さん、もう船はダメ、船はダメ!」

 板はどんどんと剥がれ、次第に壊れていくボート。映像からは、男性は救命胴衣を着ていないように見えます。

海上保安官:
「手伸ばして、いけますいけます!お父さん、よし!上げますよ、せーの、ハイッ!ベルト持った。お父さん大丈夫ですか?ケガないですか?」

男性:
「ありがとう…ありがとう」

 男性が救助されたのは、通報があってからおよそ1時間後。幸いケガはありませんでした。

 さらに男性が最初に乗っていた漁船も流されていて、およそ4キロ離れた沖で見つかりました。

 海上保安庁は「救命胴衣の着用の徹底と、万が一の場合はすぐに118番通報してほしい」と話しています。

※動画の一部と画像は四日市海上保安部提供