新型コロナの「変異ウイルス」が再び感染拡大の波を引き起こし始めています。従来型より感染力が強く、重症化しやすい可能性も指摘される中、医療現場などへの影響を収めるためには…。藤田医科大学の岩田副院長に伺いました。

岩田副院長:
「実はちょうど1週間前くらいは入院患者さんが1人2人だったのが、先週末くらいから急に増えまして9人。この第4波は本当に急に来たということだったので、覚悟はしていたんですけど」

「覚悟はしていた」と話すのは、藤田医科大学病院の岩田充永副院長です。このところ比較的落ち着いていたという新型コロナ治療の最前線に、急に影響が出始めたといいます。

大村愛知県知事:
「4月に入ってですね、先週・今週でやはり急拡大していると。これは第4波という風に言わざるを得ない」

 第3波が過ぎ去った後、すぐに到来した新型コロナ「第4波」。

 藤田医科大学病院では、中等症・重症患者用におよそ30床用意していますが、先週は埋まっても2床だったベッドが現在は9床が埋まり、「医療体制ひっ迫」が懸念されています。

岩田副院長:
「増え方が急だというところでいくと、ひょっとすると数週間以内にもう満床になってしまうかもしれないと。そういう危機感も持っています」

 大きな波を引き起こし始めた要因の一つに考えられているのが「変異ウイルス」です。

岩田副院長:
「(藤田医科大学病院でも)1人は確定という方がいらっしゃいます。2人は変異ウイルスのクラスターじゃないかという疑いという方がいらっしゃるということで。(特徴として)感染しやすい、感染者は増えるだろう」

 感染力が強いとされる変異ウイルス。国立感染症研究所が解析したところ、関西圏で拡大が続くイギリス由来の変異ウイルスは、感染力が従来型よりもおよそ1.3倍強いという結果が見られたほか、重症化しやすい可能性も指摘されています。

 愛知県では新規感染者のうち、変異ウイルスに感染した人の割合が増加傾向にあります。3月中旬まで確認されなかった変異ウイルスの感染者は、およそ1カ月で250人に急増しました。

岩田副院長:
「遠い地域の人と接触する機会があるのは、やはり若者の方が多いのかなと。やっぱり活動範囲が広い若者ですね」

 変異ウイルスの基本的な対策は、手洗い・マスク・3密回避などこれまでと変わりないといいます。しかし呼びかけだけでは、これまでも流行を抑えられなかったのも事実です。

 岩田副院長は、第4波を抑えるために「ワクチン接種」に期待するしかないと話します。

岩田副院長:
「今、検出されている変異株に関しては有効性は保たれている。新たな変異株が出現する前に、うまくいっているイギリス・イスラエルのような前例がありますので、出口が見えてくるんじゃないか。1秒でも早く、1人でも多くワクチンを接種できるようにすることが、もっともこの第4波を終わらせるための大切なことだと思います」

※画像は東京都健康安全研究センターHPより