3度目の緊急事態宣言で、飲食店だけでなく映画館も厳しい状態が続いています。協力金もない状況に「閉館の可能性も…」と語る名古屋のミニシアターを取材しました。

名古屋シネマテークの永吉支配人:
「皆さんお揃いのようなので、進めさせていただきます。中は自由席ですが、他の方とは間を空けてお座りください」

 平日とはいえ、寂しい客入りです。この回に来場した客は結局、わずか10人ほどでした。

 ミニシアター「名古屋シネマテーク」。終わりの見えない苦境が続いています。

永吉支配人:
「下がったまま全然良くならない。作品によってちょっと上がったりっていうのはあるんですけど、もちろん満員になることはないですし。(客は毎回)ほぼ1桁ですね」

 3度目となる緊急事態宣言。愛知県は今回、面積が1000平方メートルを超える映画館や劇場などに対し午後9時までの時短営業を要請していて、応じた施設には協力金が支払われます。一方、客席40人のシネマテークには…。

永吉支配人:
「要請ではなくて『呼びかけ』という言い方なので、従っていません。予定通りの番組をやっています」

 時短は要請でなく「呼びかけ」。協力金が支給されないこともあり、普段通りの営業を続けていました。去年の春から赤字に…。集まった寄付や助成金などを取り崩して、これまでなんとか経営を維持してきましたが…。

永吉支配人:
「大変厳しいなということしかないですね。このままの状態がどれだけ続くかによって、どこかで考えなければいけない時期が必ず来ますから。赤字を生み続けてやっていくのは限度がありますので。(Q.考えるというのは具体的に?)閉館せざるを得ないってことですね。かなり切実にあります」

常連客:
「なくてはならない存在なので、私にとってはなくなるととても困ります。(名古屋シネマ)テークでやっているのは、もうここでしか見られない作品がほとんどなので…」

 そんなシネマテークをこの日に訪れたのは、同じ名古屋のミニシアター「シネマスコーレ」の支配人。客としてライバル館で映画です。

シネマスコーレの木全支配人:
「(客入りは例年の)大体7掛けですね。今年はミニシアターに対して協力金はゼロなので、非常に苦しいです」

永吉支配人:
「木全さんは割とよく来られますね。もともと映画を見るのが好きで始めているので」

 映画への思いだけではもう踏ん張り切れないような状況に。ミニシアターにとって「限界」が近づきつつあります。