「あいちトリエンナーレ」で慰安婦問題をテーマにした作品などの企画展に抗議が殺到した問題は、安全面の理由から展示の中止という事態になりました。「表現の自由」をめぐって関係者から様々な発言が相次いでいます。

<展示中止への抗議デモ>
「こういう理不尽な行動に屈してはいけません、今は立ち上がるべき時です」

 4日午後、「表現の不自由展・その後」の会場近くで行われた展示中止に抗議するデモ。喪服を着てプラカードを掲げる人もいます。するとそこに街宣車が…。

(リポート)
「表現の自由を求める集団と街宣車が道路上でぶつかり合っています。警察が出動する騒ぎになっています」

 週末の名古屋・栄が大混乱に。そして週が明けても…。

大村愛知県知事:
「検閲ととられても仕方がないんじゃないでしょうか」

河村名古屋市長:
「ほりゃいかんでしょ。それじゃ『ああいう展示はいいんだ』と堂々と言われてください」

 知事と市長が非難の応酬。企画展中止の波紋は、依然広がっています。

(リポート・4日)
「今日から中止になっている表現の不自由展、その入り口は扉で固く閉ざされています」

 過去、全国の美術展などで展示を拒否された作品を集めた「表現の不自由展・その後」その内容は…。

 韓国人彫刻家が制作した慰安婦問題がテーマの展示「平和の少女像」。昭和天皇を連想させる顔を焼かれた肖像画。「なぜ税金を使った芸術祭でこのような作品を展示するのか」との批判が殺到しました。

 費用の一部を負担する名古屋市の河村市長は…。

河村名古屋市長(2日):
「どう考えても日本国民の心を踏みにじるものだね」

 と展示の中止を要請しました。そして週末、事態は急展開。

大村愛知県知事会見(3日):
「諸般の状況を総合的に勘案して今後の円滑な運営に向けて、必要な対策をとるとの観点から本日(土曜日)までとすることで合意した」

 開幕からわずか3日で中止を公表。県などに寄せられた抗議は5日までにおよそ2800件。職員の業務に支障をきたすまでに。中には…。

大村愛知県知事:
「1枚FAXが届きまして『大至急撤去しろ、さもなくばガソリン携行缶を持って館にお邪魔しますので』というFAXがありました」

 京都の放火殺人事件を彷彿とさせる脅迫文も…。安全に運営できなくなったことが企画展中止の理由としています。

 今回の問題、「表現の自由」をめぐって様々な発言が相次いでいます。

『あいちトリエンナーレ』は大村知事が実行委員長。ジャーナリストの津田大介さんが芸術監督を務め、企画展はそれぞれの実行委員が担う体制になっています。

津田芸術監督:
「公立セクターの文化事業に対して気に入らない人たちが集団で電凸(電話でのクレーム)をすると、それをつぶすことができてしまうという成功体験になってしまい、表現の自由を後退する悪しき事例を作ってしまった責任は非常に重く受け止めています」

 また大村知事は展示中止を求めた河村市長について…。

大村愛知県知事:
「河村さんは権力者、中止しろと書いてあるわけです、公文書に。公権力を持った方がこの内容はいい、この内容は悪いというのは、憲法21条による検閲ととられても仕方がないんじゃないでしょうか」

「検閲」という言葉を使って痛烈に批判。これに対し、河村市長は…。

河村名古屋市長:
「表現の自由を言うのは皆さんご承知のように『絶対的に何をやってもいい』という自由ではない。公共的なものをやるときには、それは無制限な絶対的な内心の自由みたいな自由があるとは思えない」

 また企画展を主導してきたメンバーは事前に相談がないままでの中止決定に怒りをあらわにしました。

『表現の不自由展・その後』実行委メンバー:
「開始からわずか3日で中止するとは到底信じられない。圧力によって人々の目の前から消された表現を集めて、現代日本の表現の不自由状況を考えるという企画を、その主催者が自ら弾圧するということは歴史的暴挙と言わざるを得ません」

 突然の中止で企画展を見られなかった人もいました。

美術ファン:
「力づくでつぶそうとした人がいたのは非常に残念ではありますが。そんなことしないで見に来ればいいのにと思うんですけどね」

 会場の外でも聞いてみると…?

街の人:
「あれ(企画展の展示内容)がどういう目的で作られたのかと、ただあの像をアートとみるかどうかという問題もあると思う」

 展示中止の余波はしばらく続きそうです。