新型コロナウイルスにより数多くの業種が影響を受けています。三重県ではブランド牛の「松阪牛」も需要が減り、ピンチとなった会社に、旅行代理店が「アナログ営業」で協力し、盛り返しています。

 網の上で焼かれる、ジューシーなお肉。三重県松阪市のレストラン「Dreamオーシャン」では、ブランド牛の「松阪牛」などが楽しめます。

瀬古食品の瀬古課長:
「この薄いのがバラ肉なんですけど、牛の中でも一番甘いところなんです。脂身が一番甘いところなので、1回食べてもらったら甘さを感じてもらえると思います、お肉の甘さを」

バスツアーや観光客に大人気というこちらの店。しかし、新型コロナの影響で窮地に。

瀬古課長:
「(世間で)コロナが広がってきてからは、お客さんの数も少なくなってきて、どうしようかなという感じで。どうやって販売していこうかなと」

 需要が激減し、行き先を失いそうになった松阪牛でしたが、窮地を救ったのは「意外な助っ人」の「意外な方法」でした。

吉川社長:
「お世話になっております。松阪肉を助けようキャンペーンじゃないですけれども…」

松阪牛を電話で売り込む男性は、旅行代理店「ワイツアーズ」の社長、吉川さん。牛肉の販売業者ではありません。この会社も新型コロナの影響で、苦しい状況にありました。

 社員旅行など団体旅行を扱う「ワイツアーズ」は、新型コロナでキャンセルが続出し、およそ8000人分の予約が吹き飛びました。

復調の兆しが見えないなか、これまでツアー客を案内していた「オーシャンファーム」もピンチと聞き、松阪牛の通信販売を手伝い始めたといいます。

その方法は、なんとFAXでの申し込み。「すべての世代が気軽にできるように」と、あえて「アナログ式」にこだわりました。

吉川さんの旅行代理店の顧客網を活かし、電話などで松阪牛の通販を紹介します。売り込みを受けた顧客はオーシャンファームに直接注文のFAXを送付し、後日、オーシャンファームが、松阪牛を配送するというものです。

松阪牛のカルビやすき焼き肉が100グラム864円、小間切れ肉は486円のお手頃価格。集まったのは2800件ほどの注文。紙の重みが反響の証。このアナログ営業がコロナで消えた予約の足しになるのかと思いきや…。

吉川社長:
「お肉屋さんはある程度たくさん儲かっているんじゃないかなと思いますけど。ウチはもうボランティアで始めた域でしたので、そこ(儲け)は考えていませんけど」

あくまで苦しむ者同士の「助け合い」。「コロナを乗り越えた」先を意識しています。

吉川社長:
「オーシャンファームとのとつながりはすごく深くなりますので、今後のビジネスに繋がっていけるんじゃないかなと思います」

「アナログ式」の売り込みは大成功。7月中までとしていた注文受付を、好評のため8月まで延長する予定です。

瀬古課長:
「(注文した客から)おいしいという声も頂いて、こちらもワイツアーズさんも嬉しく思っていますね。(お肉に)自信持ってます」