新型コロナ対策として正しい手洗いやマスク着用などと並び、大切なものの1つに「換気」があります。その換気に関する実験が愛知で行われました。

「3密」といわれる場所で空気がどのように流れるのかを調べた実験で、監修したのは感染症対策に詳しい、愛知医大の三鴨教授です。

 29日、名古屋で開かれた記者会見。発表するのは、感染症対策に詳しい愛知医科大学の三鴨廣繁教授です。

愛知医科大学の三鴨教授:
「なんとなくですね、密閉空間で本当に換気が悪いんじゃないかというけれどもですね」

三鴨教授が解説しているのは、3密の代表のように言われがちな映画館の「換気」について。

およそ4000人を対象にしたインターネットアンケートの結果、映画館は3密に該当すると思うと答えた人は、実に63パーセント。なかでも、映画館が危ないと感じる理由として一番多かったのが、「換気が悪そう」という回答です。

 それが本当なのかを検証するため、実験が行われました。

三鴨教授:
「マジ!?と思いましたよ。これは本当に私はそう思いました」

三鴨教授も驚いた実験の映像がこちら。映画館の換気能力を「見える化」するため、座席数352の大型の劇場内に、空気に見立てた白い煙を充満させて、どのように流れるのかを調べました。

真っ白く煙が充満した劇場内ですが…。

三鴨教授:
「あの辺りを見ると、下から吸い込まれているのが分かりますね」

三鴨教授が指摘したポイントは、スクリーンの下の辺り。多くの映画館では天井以外にもここに排気口が備えられていて、大きな換気能力があるそうです。

10分経つと煙がなくなり始め、そして実験開始から20分後。真っ白だった劇場内から、煙がすべてなくなりました。

三鴨教授:
「1時間に3回は、空気が全部入れ替わっているんでんすね。これは僕は少し驚きました」

映画1本の上映時間が2時間ほどと考えると、上映時間中に6回は空気が入れ替わっている計算です。

 愛知県興行協会によると、そもそも映画館の換気については興行場法で定められていて、愛知県の場合、入場者1人あたり毎時30立方メートル以上の換気ができることが義務付けられています。

三鴨教授:
「密閉と皆さんが思ってきた映画館でも、かなり換気がされていると。少なくとも最低限以上の換気がされているということが分かりました」

 3密の代表といわれる映画館の換気を検証した今回の実験。しかし、一番大切なのは…。

三鴨教授:
「映画に行くというときには、健康が大切。ちょっとでも調子がおかしいときはやめていただくという勇気を持つ。映画も文化なんですよ。文化を守るためには、興業側も観客側も努力しないといけない。こういう理解を皆さんと共にもっていくことが、感染対策につながると思います」