今年はコロナ禍でのお盆休みを迎えていて、東海3県でも各県の知事が故郷への帰省を見直すよう訴えるなど、帰省や遠方への旅行は憚られる状況です。

 そんな中、三重県の観光地・鳥羽では少ないながらも観光客が戻ってきています。ただ、例年とは少し様子が違います。地産地消ならぬ地元に行って地元で楽しむ“地行地楽”の現地を取材しました。

飼育員:
「出ました、動いた。よかった、よかった」

今年6月。三重県の鳥羽水族館で生まれたセイウチの赤ちゃん。生まれたばかりですが体重は50キロ。例年なら、お盆休みを迎え、全国からお客さんが見に来るはずでしたが…。

観光の街、三重県・鳥羽市。いつものお盆休みなら多くの観光客で賑わう駅前も人通りは少なめ。

駅前のクシー運転手:
「(Q.観光客の数は?)たまに乗りに来るくらいの程度やな。3分1あるかないか、どえりゃー悪いな」

 創業190年、鳥羽を代表する老舗旅館「戸田家」。ほとんどの客室から鳥羽湾を一望でき、国内のみならず海外からの観光客も宿泊する人気の宿です。

 しかし、その戸田家も今年はコロナの影響で2か月間、休業を余儀なくされました。6月から営業を再開させ、危機的な経営状態を何とかしたいと夏のイベントを企画して集客に力を入れています。

宿泊者の親子:
「おー。でっけー」

お盆の期間中、毎日打ちあげられる花火に、毎晩行われる地魚の解体ショーも。牛肉の鉄板焼きに伊勢えびの料理。およそ50種類が食べ放題のバイキング。

感染対策として大皿ではなく、小分けした小皿で提供。「新しい生活様式」が取り入れられています。少しづつ賑わいを取り戻しつつあるように見える「戸田家」。それでも…。

戸田家の寺田順三郎社長:
「お客様が少なくなっているなと。例年に比べて7割いくかいかないか」

厳しい現実は相変わらずですが、今年はこれまでにない、ある傾向があります。

女性:
「県内、松阪市です。花火が今年は見るところがないのでここの情報を聞いて」

親子:
「三重県松阪市です。外へ出ていけないのでプールもあるのでここで遊ぼうかと」

女児:
「海とか泳ぐのが楽しかった」

「3密対策」を徹底して初めて迎える旅館の「お盆」シーズン。東京方面からの宿泊客は激減する一方、三重県を中心にした地元のお客さんがいつにも増して多くなっています。

寺田社長:
「東京からですと20%から多いときは25%くらいお越しいただくのが今は5-6%。その分、三重県が少し増えたと。それぞれの都道府県別に自粛や色んな宣言が出ておりますので影響が多大に出ているなと」

その影響は思わぬ形で団体予約にも出ています。

寺田社長:
「学校の修学旅行はほとんどお受けしておりませんが、県の方からも受け入れを是非ということだったので、40校から50校あるんじゃないかと思いますね」

 地元の魅力を改めて見直す…。その動きは、戸田家近くの三重を代表する観光スポット「鳥羽水族館」でも。

この夏の人気は6月に生まれたばかりのセイウチの赤ちゃんです。

飼育員:
「出ました。やぶってる。大丈夫」

飼育員:
「よかった、よかった」

セイウチの「ポウ」と「クウ」の間に生まれた男の子。生まれたときの体重はなんと50キロ。ビックベイビーです。

三重県から来た家族:
「赤ちゃん生まれたと聞いたんで、ぜひ見たいなと」

女児:
「かわいかった、大きい」

午前11時から午後2時までの公開。その人気はここでも地域限定のようです。

鳥羽水族館の担当者:
「お盆は、意外と近県から来ている方が多いと思います。特に三重県を中心に。車で来られる方が非常に多いのでナンバーからよく分かります」

 この夏、鳥羽水族館は「ベビーラッシュ」の明るい話題でもちきり。「オタリア」の赤ちゃんがお母さんのおっぱいを飲む姿も見られるほか、今年2月に生まれ「おじさん顔」で話題のバイカルアザラシの赤ちゃん「ニコくん」もすくすく成長中です。

四日市から来たカップル:
「県外へ行けないので県内の伊勢や鳥羽に行こうと思って。三重県はいい所がいっぱいやと思って」

 コロナ禍のお盆休み、今年は「地元で楽しむ」人が多いようで、地元の良さを再発見する機会になりそうです。