来年1月の岐阜県知事選挙。現職の古田肇知事に加え、22日に元官僚の江崎禎英さんも立候補を表明しました。しかし、この2人を巡り自民党が割れています。

 自民党県議団は一本化を見送り2人の推薦を決めるなど、約半世紀ぶりの「保守分裂選挙」となる構図が固まりました。

江崎禎英さん:
「県民の方々は、コロナでなんとなく不安な気持ち、そして将来に対しても不安な気持ち。この空気を、この選挙戦で大きく変えていく」

 22日に岐阜県知事選挙への出馬を表明した、岐阜県出身で元内閣府大臣官房審議官の江崎禎英さん(55)。

 新型コロナ対策の知見を生かし、県民の不安や閉塞感を打破したいと決意を語りました。

 一方、先週古田肇知事(73)も5選を目指し出馬を表明。こうした状況を受け、過去4回の選挙で古田知事を推薦してきた自民党県議団は22日、2人を推薦し自主投票とする異例の決定をしました。

猫田孝県議:
「両方を、県政自民クラブで推薦することで決定した。クラブを割らないためには、これしか方法がない」

 知事選を巡って県議団の幹部らは、コミュニケーション不足を理由に知事の続投に難色。江崎さんを推薦する方向で調整していました。

 これに対し、古田知事はいち早く立候補の意向を表明し、多くの国会議員や地元財界の支持を取り付けたため、県議団は一本化を断念。2人に推薦を出し自主投票とする、まさに苦渋の決断です。

 多くの自民党国会議員と県議団の一部が古田知事を、同じ自民党県議団の幹部らが江崎さんを支援…。こうした保守分裂選挙、前回は1966年にまで遡ります。

 自民党公認で3期目を目指た現職に、県選出の国会議員らが新人を推し自民党は分裂。結果は新人の平野三郎氏が当選。党内に大きなしこりが残ったといいます。

 さらに岐阜県で思い出されるのが15年前の郵政選挙。岐阜1区の自民党支持者が二分されました。あるベテラン県議はこう話します。

ベテラン県議:
「(県連会長の)聖子さんこそ、郵政選挙で党を割るのがどれだけ辛いか分かっているはずなのに、どうして歩み寄れなかったのか」

 保守分裂の構図が固まり、慌ただしくなってきました。

 早速23日に地元で会合を開いたのは、岐阜5区選出の古屋圭司衆院議員。選挙区の県議らも招き、古田知事の支持を確認しました。

古屋圭司衆院議員:
「一部の人が牛耳る、なんでも自分の言う事を聞かなきゃいけない。昭和的な運営をする勢力から良識を取り戻す、そういう選挙でもあると思います」

 江崎さん支援の中心となっている県議団の重鎮・猫田孝県議らを暗に批判しました。

 知事選にはこのほか、元県職員の新田雄司さん(36)も立候補を表明。半世紀ぶりに保守分裂となる岐阜県知事選挙…。投開票は来年1月24日です。