新型コロナウイルスの感染拡大で、ひっ迫しているという医療現場。コロナの中等症以上の患者を受け入れる愛知県豊明市の藤田医科大学病院では、「第3波」ならではの苦悩を抱えていました。

 連日、搬送されてくる新型コロナの陽性者。病院が12月に撮影した映像には、二重扉の向こうで手当てを受けるのは重症患者の姿がありました。

「医者になって20年以上経ちますが、こんなに緊張感と恐怖を覚えたのは本当に初めてです」。こう話すのは、最前線で治療にあたる岩田充永副院長。

 藤田医科大学病院では、64床くらいを陽性者が入院できるように準備を整えましたが、20床弱が今埋まっているといいます。

 病床使用率は4割、一見余裕がありそうですが岩田副院長は、「陽性と分かってから1週間後には、数%は重症化するので、毎日重症化の方は定期的に増えていく計算になります」と危機感を吐露しました。

 重症者は少なくとも4週間は入院するため、感染者が今のペースで増えると、病床数が足りなくなります。病床を埋めてしまえばそれ以降、受け入れることができなくなることに。

 現場の看護師も「はっきりとコロナの症状が分からず、急変するリスクも多いので、普段の患者より気を張る、ちょっと予測ができかねるので、精神的に負担にはなっています」と不安の声を漏らしています。

 そして、第3波ならではの苦悩も。

岩田副院長:
「第3波になって、若い人たちは無症状で、そのまま感染して終わってしまう方もたくさんいることが分かってきて。無症状で感染している人が医療者にいてもおかしくない、入院患者さんにいてもおかしくない。病院に広がってしまうんじゃないかという不安があります」

 第3波で急増している「無症状」の陽性者。この感染拡大が、医療現場で特に危惧されています。

 もしもそれが起これば、「完全に医療崩壊」と話す岩田副院長。この不安との戦いが、疲労感を募らせています。

 12月7日、豊川市民病院では看護師ら2人の感染をきっかけに、その家族など、9日までに24人の感染が判明。クラスターに認定されました。

 医療崩壊に直結する「院内感染」。医師や看護師は患者の治療だけでなく、自身の感染防止にも気を遣います。

重症者対応の看護師:
「自分が身に着けているものは外に持ち出す物なので、名札とかポケットに入っているペンとかは全て外してから、患者さんの部屋の中に入るようにしています。患者さんの部屋に入ってしまったら感染のリスクがあるので、その日は他の患者さんの部屋には入らないです」

 終わりの見えないコロナ治療。いつまで頑張れば光が見えてくるのか…。

 岩田副院長は「肉体的な疲労だけでなく精神的な疲労も増えてきてるので、医療者としては感染される方が減ってほしいなと願うばかりです」と祈るような表情で話しました。

※画像と映像の一部は「藤田学園」提供