緊急事態宣言の再発令から27日で2週間。発令期間が当初予定されていた2月7日までだとすると、折り返し地点となりました。

 新規の感染者数だけ見ると宣言の効果が出ているようにも感じられますが、医療の現場では依然として危機的状況が続いています。日々、コロナ患者の治療に当たる医師に話を聞きました。

 伺ったのは新型コロナ治療の最前線「藤田医科大学病院」の岩田充永副院長です。

Q.緊急事態宣言から2週間経ちましたが、医療現場に変化は?

藤田医科大学病院の岩田副院長:
「中等症で依頼される方が少し減ってきたかなと。当院は比較的重症の方が入院依頼されるので、その数は変わらないです」

 愛知県の新規感染者の数は、一時期と比べ徐々に減ってきてはいるものの、重症者の数は減ることは無く、27日は過去最多の67人に。そんな中、恐れていたことが現実となりました。

岩田副院長:
「私たち救急をやっているものとしてはショックでしたね。コロナの重症者のための病床を確保したら、救急の病床が減るという」

 先週末、名古屋市でコロナではない救急患者2人の搬送先が見つからず、心肺停止となった「搬送困難事案」です。

岩田副院長:
「もともと愛知県内の病院というのは、どこも救急の受け入れをものすごく熱心な病院が多くて。本来は119番してから病院搬送までが、日本でもトップクラスに短いということが誇りであった。いくら救急の受け入れをがんばっている病院でも、かなりひっ迫していたんだろうなと」

 救急の患者を受け入れる医療機関の多くは、新型コロナの患者を受け入れる大きな病院です。どの病院もコロナ患者でベッドが埋まる中、救急医療が立ち行かない状態となっているのです。

 藤田医科大学病院で確保している重症者用の病床は現在14床。そのうち12床がすでに埋まっています。

岩田副院長:
「今中等症で入院されている方が状態が悪くなったときに対応できるように1床、それから夜中に救急車で陽性でご自宅で待機されている方が重症化して、受け入れ先がないようなときにはなんとかお受けしたいので、そのための1床と考えると…ギリギリのところですね、12床というのは」

 綱渡りのようだという医療の現場。それでも…。

岩田副院長:
「(25日の)夜中の11時くらいにですね、ちょっと状態が悪いということで、なかなか搬送する病院が決まらなくて。三河地方の遠いところなので相当断られたんだろうなと。日曜日も実は名古屋市の救急隊から陽性者の出入り依頼がありまして…」

 藤田医科大学には、他の地域から毎日のようにコロナ患者の受け入れ要請があり、できる範囲で対応していますが、いつまで続けられるか分からないといいます。

Q.ここをなんとか踏みとどまる、状況を変えるために何が一番必要でしょうか?

岩田副院長:
「医療って「蛇口をひねれば水が出る」「スイッチを入れれば電気がつく」というのと同じ感覚で、私たちは生活していたと思うんです。普通に病院にかかりたいと思った時に、診てもらえるという病院があるという。今まで当たり前にあった状態に戻すためには、繰り返しになりますが『感染しない』ということが最もこれを防ぐ」