新型コロナの影響で在宅率が上がる中、高齢者をターゲットにした特殊詐欺が多発しています。被害に遭った女性の話から、巧妙化する詐欺グループの手口が見えてきました。

被害に遭った女性:
「そりゃ悔しくて腹立ちましたよ。病院代とお葬式代ですよ、私1人やから...」

 詐欺被害に遭った80代の女性。豊田市で一人暮らしをしています。被害に遭ったのは、複数の人物が入れ代わり立ち代わり登場し、いつの間にかキャッシュカードがすり替えられるという詐欺。

被害に遭った女性:
「(Q.相手は話が上手?)上手上手、もうとてもやないわ。私が息つく暇なかったです。褒めるのも上手だった。『おたくみたいに防犯意識のある人少ないですよ』言われた」

 事の始まりは1月10日、「詐欺グループに口座からお金を引き出されています」という警察官を名乗る女からの一本の電話でした。さらに女はこう続けました…。

<警察官を名乗る女>
「補償手続きのため、職員が自宅を訪問します」

 ここである女に電話をかわりました。「財務省のヨシダ」と名乗る第2の人物の登場です。

<財務省のヨシダと名乗る人物>
「そちらに職員を向かわせます。封筒を持っていきますので、キャッシュカードを入れて保管してください。犯人に盗聴されているかもしれないので、誰にもこのことを喋らないでください」

 そして職員が来るまでの間に「キャッシュカードの再発行に必要」として準備させたのが、紙に書いたキャッシュカードの暗証番号です。

 ほどなくして自宅に現れたのが、第3の人物。男は「財務省のナリタ」と名乗ったといいます。

 ナリタはまず「キャッシュカードを使えないようにする」と言い、女性の目の前でカードをはさみで切ると…。

<財務省のナリタと名乗る男>
「暗証番号を書いた紙をこの封筒に一緒に入れて持っておいてほしい」

 しかし、女性によるとカードを切った部分はお金を引き出す際に支障が出ない、下の部分のほんの一部だけだでした。

 第3の人物・ナリタは、女性が席を外したわずかな隙に、カードと暗証番号を書いた紙が入った封筒を別のものとすり替えて、家をあとに…。女性がその夜に封筒を開けると、入っていたのはキャッシュカードほどの大きさに切ったプラスチックの板でした。

 女性はだまされたと気づき警察に通報しましたが、時すでに遅し…。口座から200万円が引き出されたあとでした。

被害に遭った女性:
「そりゃ悔しくて腹立ちましたよ。病院代とお葬式代ですよ、私1人やから。これからの生活費と両方ですよ。ひっくるめてますよ」

 愛知県内では去年1年間で569件の特殊詐欺が発生。このうち約6割がキャッシュカードを狙う手口だったということです。