人口3000人あまりの愛知県東栄町が今、町長のリコールなどを巡って大きく揺れています。

 そこには、愛知県の大村知事へのリコールを巡る署名偽造事件も影響を与えたと言うことです。一体街で何が起きているのか、取材しました。

 愛知県東栄町が揺れています…。

原田議長:
「カメラはもう今からは入れれん」

東栄町の村上町長:
「(Q.中は撮影させてもらえない?)許可取って頂いていますか」

 カメラによる取材を認めない東栄町議会。小さな町で一体、何が起きているのでしょうか…。

町民:
「町民に安心と安全を与えてくれるのが町長だと、私は思うんですよ。新しい人と変わってもらいたい!」

 町長への不満を口にする住民。今、村上孝治町長のリコールに向け、動き出しています。

(リポート)
「小さな町で持ち上がった町長のリコール。きっかけとなったのは、町で唯一の病院を巡る動きでした」

 発端となったのは、東栄町が運営する医療センター。東栄町は人口の減少などを理由に、医療センターで人工透析や救急医療を中止。さらに入院病床の廃止までも打ち出しました。

 これに対し、反対する住民は町の方針を見直す条例の改正を求め、去年12月から1月にかけ署名集めをしました。

 署名集めをした伊藤光男さん(67)は…。

伊藤さん:
「距離が遠くなれば、生きる人も死んでしまう」

 今年1月に、伊藤さんら住民は1075人分の署名を提出。選挙管理委員会の審査で、およそ9割の977人分が有効と認められました。ところが…。

伊藤さん:
「これが町長の後援会が出したチラシです」

 2月、全町民の自宅に郵送されたチラシ。そこには驚きの文言が…。

<チラシの内容>
「まさか!!あなたも誰かに!?知らないうちに被害者として巻き込まれているかも?」

 住民の署名活動の有効性を疑い、大村知事へのリコールを巡る署名偽造事件についての新聞記事も…。送り主は村上町長の後援会だったのです。

伊藤さん:
「何!?と思ってさ。受任者たちが責任をもって回っておりますので、そんなでたらめはしていない。(町長リコール)署名に対しても、これで圧力をかけるような形になっとるのかな。町長は『私が指示したものじゃない』とか言っとるけども」

 チラシが引き金となり、事態は村上町長のリコール運動へと発展。今住民らは、署名集めの準備を進めています。

 そんな中、開かれた9日の町議会。発端となった医療センターやチラシについて議論される予定で注目が集まっていましたが、「コロナ対策」を理由に傍聴者を抽選して限定し、カメラによる取材も認められませんでした。

 議会終了後、傍聴した町民は…。

町民:
「答弁の中で謝罪の言葉はありましたけども、そこだけ妙に力が入っていましたよね。やけくそになって謝っているだけで」

別の町民:
「不安をあおったということが、最初から理解できないのかと。大村さんのリコールと重ねて、町民の自発的な署名の取り組みを脅すような。私はもう町長失格だと思っています」

 一方、町長は…。

村上町長:
「(Q.チラシへの関与はなかった?)関与というか、私の後援会ですので当然中身は存じております。われわれは制度のことを周知していただきたくて出したわけでありまして、決して委縮させるとか、そういう目的で出したわけじゃありません。妨害をしたつもりも全くありません」