岐阜県下呂市はキャンセルで余った新型コロナのワクチンを、63歳の市長が一般の高齢者よりも早く接種していたことを発表しました。市長のいち早い接種に、市民の反応は…。

山内下呂市長:
「もちろん不平等感を感じられた方には大変申し訳ないなと。市長が感染すれば政治的・行政的な空白も生まれる。市民の安心安全を守る私の立場とすると、ここで接種させていただこうと」

 14日朝、東海テレビの取材に応じた下呂市の山内登市長。市内で一般の高齢者への接種が始まるのを前に、自身がワクチンの接種を受けたことについてこう説明しました。

(リポート)
「山内市長は病院から医療従事者向けのワクチンがキャンセルになった旨の連絡を受け、その場で自身へのワクチン接種を決断したといいます」

 下呂市に連絡が入ったのは4月29日。市内の病院で翌日に予定していた医療従事者用の接種で急遽キャンセルが出たため、ワクチン1本が余り廃棄処分になってしまうと相談がありました。

 その後、市の健康福祉部長が山内市長に接種を提案。市長はすぐに受け入れ、翌日の4月30日接種を受けました。

 ワクチンを無駄にしないため接種を決断したという山内市長。一方、年齢は63歳と高齢者接種の対象外で、本来なら8月以降に接種の予定。さらに、接種を公表したのは10日以上が経過した13日夜でした。

山内下呂市長:
「医療従事者も高齢者の方も(接種を)進めております。そういう中で責任ある立場として打つということですので、当時は発表ということまでは考えておりませんでした。今となれば、当時発表していれば一番良かったのかなと考えております」

 接種の予約のために市役所を訪れていた市民は…。

男性:
「僕らも打てるから。先に打っただけのことで、(ワクチンの)余りを市長がもらうことは当然のことだと思う」

女性:
「いいことだと思います。破棄されるよりは、もったいないですので」

別の男性:
「市民としては納得できんとこもあるけど、やむを得ないかなと思うところもやっぱりあります」

別の女性:
「他にまだ打ちたい人がいっぱいいるから、そちらの方を優先するべきではないかなと思う。市長さん失敗じゃなかったかな、少し信用が落ちましたよね」

 キャンセル分を無駄にしないため。自治体の首長がキャンセル分を先行して接種したことについて、各地で注目される中、愛知県大口町では…。

鈴木町長:
「66歳ですね、今年67になります。最初はやっぱり私も正直言って打ちたくなかったです。なんとなく不安がありました、実際は。でも自分の立場を考えると、率先して皆さんにPRするのが私の仕事なんじゃないかと思って」

 鈴木雅博町長、66歳。5月10日、大口町でこの日から始まった65歳以上の高齢者への接種を第一陣として受けました。

 実は、町民への事前調査でワクチン接種への不安が多かったため、その不安を和らげようと議会に提案したうえで、初回80人の枠の1つを確保して接種。町のホームページに接種後24時間までの経過を掲載したということです。

鈴木町長:
「自分の安心と周りの人たちの安心をもっていただくというのが、一番大事じゃないのかなと。みんなで協力して、打っていただくことをお願いするだけです」