必ず起きるといわれている南海トラフ巨大地震が起きる可能性が高まっている状況で、津波など浸水から逃げられない地域に住む住民にあらかじめ避難を求める対策が「事前避難」です。2年前からこの仕組みが決められています。

 名古屋市中川区の五反田学区。庄内川と新川に挟まれるように位置する地域は、過去にも大雨による浸水被害を受けてきました。

住民:
「(浸水による避難は)前はありましたよ。あの子たちが生まれた時、22年ぐらい前か…。(Q.東海豪雨ですか?)そうそう」

別の住民:
「地震だとか台風だとか何かある時に、どこか(避難先を)本当は決めておくといいよね」

 ところが、この地域の一部が「南海トラフ地震」が起きる恐れがあるときにも事前に避難するよう、名古屋市から指定されました。それが事前避難です。

 事前避難とは、南海トラフ巨大地震の発生する可能性が高まっている場合に、津波の避難などが間に合わない地域の住民が1週間避難すること。

 気象庁が南海トラフ地震に関する「臨時情報」と呼ばれる情報を発表した場合に、津波などが発生する前に、沿岸部の住民らをあらかじめ避難させる対策です。

 国は2019年、市町村に「事前避難」が必要な地域を指定するよう指示。名古屋市も7月2日、港区や南区など、5つの区の21学区24540人が対象とすることを正式に決定しました。

 中川区の五反田学区も川沿いの一部が指定されていますが…。

住民:
「(事前避難は)聞いたことはない」

別の住民:
「できないよね、そんな。正直言って」

母親が学区の住民:
「難しいかもしれない。なかなか家から離れられないかもしれない」

 事前避難について、正確に知らない人が大半でした。南海トラフの防災対策に詳しい専門家も…。

名古屋大学減災連携研究センターの福和教授:
「事前避難対象地域が指定された機会をうまく生かして、一気に普及させないと、万が一出た時に大混乱をきたすと思っています」