政府は30日午後、首都圏3県など4府県に緊急事態宣言を追加発令を決定しました。全国的な感染拡大、いま何が起きているのか、東海3県の今後は?専門家に聞きました。

 29日に初めて1万人を超え、過去最多を更新した全国の新規感染者。「第5波」が本格化する中、政府は首都圏3県と大阪府に緊急事態宣言の追加発令を、北海道や福岡など5道府県にまん延防止措置の適用を決定しました。

 すでに「宣言」発令中の東京では30日、3日連続3000人超となる3300人の感染が判明。

 政府の基本的対処方針分科会メンバー・三重病院の谷口清州院長は、いまの状況を次のように指摘します。

谷口院長:
「これまでも報告に上がっている数っていうのは、現実の25%くらいだろうと言われていたんです。それが今、数があがってきたということは、潜在的にまだかなりの感染者がいるってことなんですね」

Q.まだピークは見えない?

谷口院長:
「まだまだ免疫を持っている人は少ないわけですから、今のところ天井(ピーク)がわからない。何もしなければすぐに3000人超えれば、4000人、5000人となっていくと思う」

 対策を徹底しなければ、今後さらなる感染爆発が起きる恐れを指摘します。

 谷口院長が挙げる対策は「感染経路を断つ」「感染源を分離する」「免疫をつける」。

 政府は緊急事態宣言で「自粛」を呼びかけ、「感染経路を断つ」ねらいがありますが…。

谷口医師:
「ただ宣言を出すだけ、自粛だけでは、いま全然効果ないですよね。『家で自粛してください』って言って、オリンピックをやっているわけですから。全然一貫したコミュニケーションになってないですよね」

Q.東京で五輪開催中 感染増加の原因の一つ?

谷口医師:
「少なくとも(増加要因に)貢献はしているんじゃないですか。無観客であっても、スタッフ、あるいはボランティア、そういった方々は動いてますよね。実際に、オリンピックのスタッフがかかっているということは東京都内でかなり感染伝播が広がっていて、それをオリンピックによる人流増加が助長していることにはなると思います」

 30日、229人の感染が確認された愛知県。谷口院長も「第5波を形成しつつある」としたうえで、今後の感染拡大に警鐘を鳴らします。

谷口医師:
「東京からのインプット、あるいは行った人が(ウイルスを)持って帰ってくる。それで新たに感染伝播チェーン(ウイルス伝達ルート)ができてくるわけですから、その2つの作用で今、増えてきている。このまま感染者数が増え続ければ、(愛知でも)東京のように爆発的に感染者数が増えます」

「第5波」の到来に「宣言」の追加、感染収束の時期は、見えていません。

谷口医師:
「まだ今、ワクチンも止まっていますし、(感染者数が)下がる要因がないですよね。とにかく今はワクチン接種が広がるまで耐えないと、その前に医療が破綻してしまいます」