458人。7月1日から東京オリンピック最終日までに、海外から来日した選手や関係者、日本のボランティアなどで新型コロナウイルスに感染した人数は、458人となりました(組織委員会発表:7月1日〜8月8日まで)。

 水際対策として採用された「バブル方式」ですが、ほころびが見られたのも事実でした。

 ギリシャのアーティスティックスイミングの選手団では、6人の陽性者が判明し、クラスターも発生。また、アフリカの陸上選手5人が浅草で観光するなど、選手村の外に無断外出するといった例も報じられました。

 半年後に迫っているのが冬の「北京オリンピック」です。次は日本の選手たちが中国へ向かうことになりますが、厳しいコロナの水際対策で知られる中国ではどのような対応なのか、中国に入国し現在隔離中の記者の報告です。

北京支局の記者:
「私は7月、日本に一時帰国をしていて、中国に戻って来ました。今、山東省の青島市にいます。海沿いの街で、この隔離施設からも海が綺麗に見えるのですが、当局の指示で窓も開けられず、非常に厳しいです。

 なぜ青島かというと、オリンピックが開かれる首都・北京は政治的にも一番重要な町なので、万が一にも新型コロナウイルスを入れないようにと、原則、海外から来る人は北京以外の都市から中国に入国する必要があります。

 そこで3週間の隔離を受けてからでないと北京に入れず、このホテルの部屋から一歩でも外に出ることは禁止されています。

 入口のドアちょっとだけ開けてみますと、部屋の前に小さなテーブルがあり、ここに1日3回、食事が届けられます。メニューは洋風、日本食風もあって、数少ない楽しみとなっています。

 検査も厳格で、入国した空港で1回、ホテルに入ってからもこれまで3回PCR検査を受けました。来週のチェックアウトまでにあと3回検査があるそうで、絶対にウイルスを入れないんだという意思を感じます。

 北京五輪で海外からの選手・関係者をどう扱うのかというのはまだ明らかにされていませんが、中国ではこういった長期間の強制的な隔離は『当たり前』と受け止められています。

 東京オリンピックに出場して帰国した中国の選手たちも、いま私と同じように隔離を受けていて、特別扱いはありません。

 一方、東京オリンピックのバブル方式について、中国側から「緩すぎる」とクレームも上がりました。

 中国代表のセーリングのチームが滞在したホテルでは、日本人の一般の客も普通に利用していて、これはどういうことだと、逆に選手が感染してしまっては困るじゃないかということで、組織委員会に申し入れをしたこともありました。

 さすがにオリンピックの選手に対しては、特別な対応が必要だと思います。ただ中国政府にとって悩ましいのは、7月から中国でもじわじわと広がっているデルタ株の感染です。

 中国国内の市中感染は10日、新たに90人確認され、国内の感染ゼロをずっと続けてきた中国では衝撃が広がっています。感染が出た町では何百万人規模のPCR検査や住民の移動制限が行われています。

 私が受けているような厳格な水際対策も、すり抜けて広がってしまうデルタ株。これを一度なんとか封じ込めないことには、北京五輪の対応というのを決めづらいという状況ではないかと思います」