緊急事態宣言の延長で、我慢を続けている老舗焼き鳥店は、酒の提供など行動の制限を緩和する政府方針には不安もあるといいます。旅行代理店では明るい兆しが見え始めています。

 名古屋・中区の老舗焼き鳥店「鳥勢」。

 この店では「まん延防止等重点措置」が適用された8月8日から、営業はランチのみ。夜の営業は、前回の緊急事態宣言に続き2度目の休業中です。

 名物・名古屋コーチンを焼いていた「焼き場」は、ランチで使われないため段ボールで覆われ、新鮮なネタが並んでいたショーケースも空っぽ。

 1ヵ月以上使用していないビールサーバーの注ぎ口には、ラップが巻かれています。冷蔵庫にはアルコール類も並びますが…。

鳥勢の担当者:
「心配なので(酒の)賞味期限を毎日のようにチェックして。手が出るほどお出ししたいんですけど、出せない…」

 現在の売上は、コロナ前と比べておよそ9割も減りました。

 そんな中、政府は希望者のワクチン接種が完了する11月以降、接種証明などを提示すれば、「飲食店での酒類の提供」や「県をまたぐ旅行や出張」など制限緩和の方針を示しました。

 この方針に、不安の方が強いと漏らします。

鳥勢の担当者:
「普通に営業したいという思いはあります。でも本当に11月で緩和してくださるなら内心は嬉しいんですけれど、でもどうなのかなという思いです。不安の方がすごく大きいです。本当に2回(ワクチンを)打ってアルコール提供OKなの?でもそんなことしてブレイクスルーとか感染したら嫌だなと思いながら、きちんともうここで収めないとという思いです」

 制限緩和の方針が示されて以降、早速動きがあったのが旅行代理店です。

旅行代理店の担当者:
「月曜日からは電話が100件近く鳴りまして。その半数以上が新規でお申し込みをされるというお客さんが出てきましたので、非常に前週に比べたら多くご予約を頂戴している状況です」

 先週まで1日20件の問い合わせが、今では1日100件に急増。11月以降の制限緩和を見越し、2か月先の旅行を予約する客が出始めているといいます。

 この店では、緊急事態宣言が発令された影響で、8月26日から18日間の休業を余儀なくされました。

 例年であれば、1年で一番忙しい夏休みシーズンでしたが、例年のおよそ5分の1の1300件余しか予約がありませんでした。

 今回の宣言延長で、さらに休業期間を延ばすことも頭をよぎったといいますが…。

旅行代理店の担当者:
「(休業延長も)もちろん検討いたしました。(営業再開は)規制緩和の報道が出たことが大きかった」

 営業再開を後押ししたのは、行動制限の緩和。大きな期待を寄せています。

旅行代理店の担当者:
「『2回接種が済んだのでご予約をしたい』という声をたくさん頂戴するようになりました。ワクチン接種というのが一つ、旅行業界にとって光明になっていることは間違いないかと思います。安心してお出かけしていただけるプロモーションやキャンペーンを、今後展開していく予定です」