新型コロナの感染者が減少傾向にある中、専門家は「現在の第5波を上回る『第6波』が冬前に来る可能性がある」と懸念を示しています。

愛知県がんセンター病院の伊東先生:
「感染者数がいったん減るのはいいことだと思っています。ただ、残念ながらこれで安心というわけにはいかないと思っています。一時的に感染者数が減っても、緊急事態宣言を解除すれば、冬前に第6波が来る可能性があると思います」

 こう指摘するのは、感染症対策に詳しい、愛知県がんセンター病院の伊東直哉先生です。

 東海3県では9月以降、感染者の数が減少傾向となり、政府も緊急事態宣言について9月末の解除を目指しています。

 さらに、政府は希望者のワクチン接種が完了する11月以降、接種証明などを提示すれば、飲食店での酒類の提供など制限緩和の方針を示しました。

 しかし、感染対策の徹底を継続しなければ、第5波を上回る第6波が襲ってくると警鐘を鳴らします。その理由について…。

伊東先生:
「ファイザーワクチンの2回目接種後から3か月程度で、体内の抗体が4分の1程度まで減るというデータもある。高齢者にしても医療従事者にしても、冬のシーズンというのは抗体が下がってくる時期にあたってしまう。第5波よりもひどい状況になる要因は結構揃ってる。寒いシーズンはウイルスが活発になるという影響もありますし、今年度に関してはデルタ株の影響はあると思います」

 伊東先生は「ワクチンを打ってもコロナに感染する」と、ワクチンが万能ではないと指摘。その上で、2回目の接種を終えたほとんどの医療従事者や高齢者が、ウイルスが活発になる冬前にはワクチンの抗体が減るため、感染するリスクが高まるといいます。その対策には…。

伊東先生:
「僕は3回目の接種は必要かなと思っています。かなり早い時期にワクチンを2回打った地域でも、デルタ株の感染拡大がみられている。医療従事者が打ち始めて、もう半年くらい経過しているので、そろそろ打てるタイミングではあるかと思います」

 世界を見渡すと、3回目接種をイスラエルでは8月から実施、アメリカも9月中から始める予定です。日本国内でも「3回目接種」に向け、政府内の議論が活発化しています。

 一方、この冬にもう一つ気を付けなければならないのが…。

伊東先生:
「昨年度、インフルエンザが流行しなかったので、自然に免疫を獲得できなかった人たちがいるので、今年度めちゃくちゃ流行してしまう可能性は残っている」

 厚生労働省によると、昨シーズン全国のインフルエンザ報告数はおよそ1100例と、例年の1000分の1ほどでした。

 もし、この冬にコロナとインフルの流行期が重なれば、「医療崩壊」につながりかねません。

 伊東先生は、個人での感染対策の徹底を呼びかけます。

伊東先生:
「医療体制に関しては人は不足しています。直ぐに増やせないところはあるので、感染する人を減らしてもらうしかないかなと思います。同居していない家族とのマスクを外した食事というのは、回避して欲しいと言いたいと思います」